小野久留美による個展「C(h)ronos」が、銀座・ギャラリー林で5月21日(金)より開催される。
小野は、ロンドンでの制作活動を通して人類が抱く何かを永遠に保持、保存したいという気持ちと、衰退の過程にある瞬間の無常こそが美しいと思う気持ちの二元性をテーマに作品制作に向き合っている。小野の作品には、自らの独創的な思考に基づいた、郷愁的世界が広がる。小野にとって写真とは保存するための外部記憶装置であり、その写真を土に埋める小野の技法は、全ての物質的存在はいずれ大地に還るという真理と、人類の「不変性」「永遠」への願望のありさまを可視化し、大地から掘り起こした作品には「美」に対する瞬時の恩寵が現れてくる。
本出展作は、近年の小野の作品に浸透するテーマである「変化」に基づき、「時間」と「大地」という要素から時間の経過による変化と大地に還す(生命の循環)ことの二つの変化を現している。その「変化」は小野にとって愛着であり、変化した写真は同じ時間軸を同じ母なる大地で過ごしていることの証明と考えている。
今回のタイトルである「C(h)ronos」は、ギリシャ神話に出てくる時間の神クロノス(Chronos)と大地と農耕を司る神クロノス(Cronos)を掛け合わせている。小野は古代ギリシャの時代から「時間」と「大地」は一体的な関係であったと感じ、今回の展覧会タイトルを「C(h)ronos」とした。また、本作は小野が新型コロナウイルス蔓延による世界的な不安定さと、世界各地で起こっている歴史的な動乱を「不可逆的な変化」としてとらえ、それは同時に世界が同一の時間を過ごしていることの現れだとし、我々人類の強い結束の意味合いも含まれている。
タイトル | 「C (h)ronos」 |
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会期 | 2021年5月21日(金)~5月30日(日) |
会場 | ギャラリー林(東京都) |
時間 | 11:00~18:00(5月21、28日は20:00まで/最終日は17:00まで) |
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