原田裕規「Unreal Ecology」展が、京都芸術センターで2月27日(日)まで開催中。
原田は、クリスチャン・ラッセンや心霊写真などをモチーフに、作家自身の身体や知覚の限界に挑みながら「イメージの倫理」を問う活動を展開してきた。2021年に金沢21世紀美術館で開催された個展では、33時間に及ぶ長編CGアニメーション作品「Waiting for」を発表して話題となった。「Waiting for」は、ドイツ・ロマン主義の風景画や1960年代のコンセプチュアリズムに通底する「水辺」への関心をモチーフに、その多義的な空間性を3DCGによってビジュアライズした作品だ。
本展では「Waiting for」に加えて、長野県にある諏訪湖で撮影された映像を用いた新作インスタレーション、24時間にわたって写真を見続ける様子を記録した「One Million Seeings」など、新旧作品が新たな構成で展開される。本展タイトルに用いられた「Ecology(エコロジー)」という言葉は、環境保全や環境保護といった意味に加えて、生態系や環境そのものも指し示す。それに対して「Unreal Ecology(アンリアル・エコロジー)」は、日本語にすると「人工的な環境/人工的な生態系」という意味合いになる。Ecologyという言葉の幅広さと同様、Unreal Ecologyというタイトルもまた、生成的につくられた仮想空間から、現実世界の自然環境、現代文明の消費流通システムに至るまで、幅広い対象をとらえている。
本展を通じて原田が投げ掛けるのは、CG、映像、写真などの「イメージ」もまた、独自の生態系をもっており、それに対して私たちが持つべき倫理観とはどのようなものかという問い。本展に並べられる3つの作品は、それぞれの方法でこの問題に向き合った実践の記録であるといえるだろう。
タイトル | 「Unreal Ecology」 |
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会期 | 2022年1月29日 (土) ~2月27日(日) |
会場 | 京都芸術センター ギャラリー北・南・和室「明倫」(京都府) |
時間 | 10:00~20:00 |
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