妊婦の姿を通して人が産まれることに想いを馳せる、伊藤明日香写真展「Conception」

写真家・伊藤明日香の初個展「Conception」が、中目黒のCOMPLEXBOOST で5月13日（金） まで開催中。

1992年生まれの伊藤は、都内スタジオ勤務後、2017年から3年間イギリス、フランスの滞在を経て、現在は東京を拠点に活動。家族、母親、子どもをテーマに制作を行い、その関係性を見つめ理解を深めることで、自身の母親や過去との関係を探究し続けている。2020年、パンデミックを機に帰国したことがきっかけで、制作の内容はより自己の内面を掘り下げるものへと変化した。これまで母親の姿を写真に収めてきたものの、妊娠中の母親とは話す機会が少なかった伊藤は、帰国後妊婦を被写体とした撮影を行うようになる。本展では、パンデミックで一般的になった「見えないもの」への認識から着想した「内包する」ことをテーマに、妊娠3カ月目から出産4日前の妊婦の姿までそれぞれ期間を分けて取材をし制作された。会場では、暗室の一連の工程を汲みながら、平面の写真のみならずインスタレーションや立体物も用いられ、それぞれの写真が関係し合うように構成されている。

男性である伊藤は、一生妊娠を体験することは無いだろう。しかし、母親のお腹から産まれてきたことは男女問わず全員が共通しており、人が産まれるということを改めて会場で考えることは、すべての人が共有できる経験だと話す。人はどのように生まれ、関係を紡いでいくのだろうか？ 目には見えない存在への視線を、目で見えるものしか写らない写真という形で考察する。1週間と短い期間の展示となっているので、気になる方はどうぞお見逃しなく！