若手作家を個展形式で紹介するシリーズ「アペルト」の第18回目となる展示「顧剣亨 陰/残像」が、金沢21世紀美術館で2023年9月18日(月・祝)まで開催中。
顧剣亨は、移動により身体に蓄積される風景やイメージの情報を、写真という装置を拡張的に用いることで変換、再構成する表現方法を探究している写真家である。画像編集ソフトを用いて、縦列と横列それぞれで、1ピクセルずつ削除と保留という動作を手作業で何万回も繰り返した後、複数の写真をデジタル上で編み込む「デジタルウィービング」という独自の手法で作品を制作してきた。
本展では、中国、福建省の原始林をはじめ、世界各地の森を高解像度カメラで撮影した大型の新作シリーズで構成されている。作品の大きさは高さ5メートルや幅9メートルに及び、展示空間に巨大な森のイメージが重層的に立ち上がることで、平面というフレームに圧縮されることなく、大量の情報量が観る者を圧倒する。膨大な時間をかけて反芻し、織物のように編み込まれた顧の写真には、森の持つ多時間性、多言語性、多場所性が残像として写っている。鑑賞者は写真の前に佇んでいるのではなく、まるで森の奥深くまで入り込んだかのように、森の陰影に潜む亡霊のようなざわめきや畏怖の感覚を呼び起こされるだろう。
タイトル | 「アペルト18 顧剣亨 陰/残像」 |
---|---|
会期 | 2023年4月8日(土)~9月18日(月・祝) |
時間 | 10:00~18:00(金、土曜日は20:00まで) |
休館日 | 月曜日(ただし7月17日、9月18日は開場)、5月14日(日)、7月18日(火) |
会場 | 金沢21世紀美術館 長期インスタレーションルーム(石川県) |
料金 | 無料 |
URL |