17 May 2023

1930年代から1980年代にわたる日本写真史における「前衛」の変遷をたどる「『前衛』写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄」展が開催中

17 May 2023

AREA

千葉県

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大辻清司《無言歌》1956年 千葉市美術館蔵

大辻清司《無言歌》1956年 千葉市美術館蔵

「『前衛』写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄」展が、5月21日(日)まで千葉市美術館にて開催中。

2023年は、瀧口修造生誕120年、阿部展也生誕110年、大辻清司生誕100年、牛腸茂雄没後40年であり、4人の作家にとって節目の年でもある。本展では、4人の作品とそれぞれの交流を辿りながら、「前衛」写真のはじまりであるウジェーヌ・アジェから、1960 年代後半から 70 年代前半にかけて流行したスナップショット的な「なんでもない」写真(コンポラ写真)まで、約270点の作品で構成されている。

本展は、1930年代、技巧的な前衛写真が活発に発表される中で瀧口が語った、写真におけるシュルレアリスムとは「日常現実のふかい襞のかげに潜んでいる美を見出すこと」という思想をひとつの軸としている。阿部は瀧口とともに1938年に「前衛写真協会」を立ち上げ、街の風景にカメラを向けた。瀧口と阿部に強く影響を受け、交流もあった大辻は「なんでもない写真」と題したシリーズを手掛けた。そして、大辻の愛弟子でもあった牛腸は、「見過ごされてしまうかもしれないぎりぎりの写真」という自身の言葉通り、独自の視点で周囲の人々や風景をとらえ、コンポラ写真を牽引する代表的な存在となった。

4人の作家の思想や作品は、前衛写真として想起される技巧的なイメージを超えた「前衛」の在り方を示した。戦前から戦後、そして現在まで引き継がれる「前衛」写真の精神を見つめることができるだろう。

タイトル

「『前衛』写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄」

会期

2023年4月8日(土)〜5月21日(日)
【前期】4月8日(土)~4月30日(日)
【後期】5月2日(火)~5月21日(日)

会場

千葉市美術館(千葉県)

時間

10:00~18:00(金、土曜は20:00まで/入場受付は閉館の30分前まで)

休館日

4月17日(月)、5月1日(月)

入場料

【一般】1,200円(960円)【大学生】700円(560円)【小・中学生】高校生無料

URL

https://www.ccma-net.jp/

牛腸茂雄《見慣れた街の中で 30》1978-80年 新潟市美術館蔵

大辻清司《瀧口修造夫妻、書斎にて》1975年 富山県美術館蔵

大辻清司《物体A》1949年 千葉市美術館蔵

牛腸茂雄《幼年の「時間」1》1980年頃 新潟市美術館蔵

阿部芳文(展也)《『フォトタイムス』15巻6号表紙掲載写真》1938年 新潟市美術館蔵

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