東京・代官山のアートギャラリーgallery ON THE HILL(代官山ヒルサイドテラス内)では、上田義彦写真展「いつでも夢を」を、代官山ヒルサイドテラス・ヒルサイドフォーラムで7月26日(水)から開催している。
上⽥の代表作であり、いまなお後世に語り継がれる広告写真でもあるサントリーウーロン茶の作品シリーズを紹介する本展。本作はサントリーの宣伝部をはじめ、コピーライターの安藤隆やアートディレクターの葛⻄薫、そしてこの広告にかかわった多くのスタッフと共に制作された。1990年から2011年までの約20年間、南は海南島から北はハルビンへとロケ地を求めて中国各地を巡った旅の記録であり、撮影が1990年に始まったことから、変容していく中国を写し出す歴史の記録ともいえるだろう。
上⽥は当時の中国の⾵景を「遥か感」という⾔葉で表現している。広⼤な地にぼんやりと霞んだ空気の層が漂う独特な眺めと、その時代を⽣きる⼈々の⼈間模様や美しい⾵景がインスピレーションとなり、サントリーウーロン茶の数々の名シーンが⽣み出された。多彩な表現の中には、ロケを進める中で偶発的に遭遇した光景や情景なども含まれており、旅を重ねることで膨らんでいく、ワクワクとした上⽥の穏やかな喜びが写真に鮮明に焼き付けられている。
本展のタイトルは、上⽥が初期に撮影を⼿掛けはじめた頃のサントリーウーロン茶のCMで使った名曲「いつでも夢を」のタイトルをそのまま引⽤。昭和30年代後半の⽇本で流れたこの曲と同じように、どこか懐かしいサントリーウーロン茶シリーズに添えられたタイトルには、複雑で変化の激しい時代を眺める上⽥の想いが込められている。会場に散りばめられた物語の断⽚群は、ファインダーから覗く上⽥の眼差しがシンプルに開かれているからこそ、いつでも夢をとらえていけるのだと教えてくれるだろう。
会場では広告写真として8×10カメラで撮影された作品と共に、上⽥がロケの合間に35mmフィルムカメラで撮影したスナップを展⽰販売。⾃⾝で現像を⾏う上⽥は、写真そのものが持つ美しさを実験的な額装で体現させる。
タイトル | 「いつでも夢を」 |
---|---|
会期 | 2023年7月26日(水)~8月13日(日) |
会場 | 代官山ヒルサイドテラス・ヒルサイドフォーラム(東京都) |
時間 | 12:00〜19:00(最終日は11:00〜17:00) |
定休日 | 月曜 |
URL |