畑直幸「Heterotrophs」展が、10月29日(日)まで熊本県・AIR motomotoで開催中。
草むらの中にぼんやり浮かんでいる虫の姿。その意味するところは、いったい何であろうか。たしかに存在している、にもかかわらず、目に見えないものはたくさんある。草むらに隠れた虫も、土中の草の根も、海の中の魚も、ウイルスも、異国で生活している人も、いままさに死に臨む人も、みんな存在している。ただ、目の前にはいない。「環境」とは可変的であり、恣意的である。自分の想像力次第で、その様相はいくらでも変わるし、どこまでも広くなる。
展示室に並ぶ一枚の写真のうちに、おぼろげな虫の影をみつける。では、次の一枚に、虫の影をみつけることができるだろうか。目を凝らせば見えるだろうか。想像力を働かせれば「見える」だろうか。あるいは、いないと断じてよいのだろうか。自分の周囲に何があって、何がないのかを決めるのは、常に自分自身である。別府の北の、杵築の奥の山香の里の、雑木林をのぞむ小さな部屋の一隅で、畑直幸は「世界」について考えている。―若山満大(東京ステーションギャラリー学芸員)
タイトル | 「Heterotrophs」 |
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会期 | 2023年9月16日(土)~10月29日(日) |
会場 | AIR motomoto(熊本県) |
時間 | 13:00~19:00(入場は18:00まで) |
休館日 | 月~木曜 |
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