東京・馬喰町のkanzan galleryで一之瀬ちひろの個展「Hello, darkness この身体のいるべき場所はどこ」が5月25日まで開催中だ。
一之瀬にとって約4年ぶりとなる今回の個展は、仕事で訪れた福島県の大熊町と双葉町で感じたことをもとに制作された新作「Hello, darkness」を中心に、イメージに関するテキスト、印刷物、プリントの束、電飾、テーブル、ベンチ、そしてパフォーマンスを組み合わせた複合的な体験の場になっている。
一之瀬はこれまで、私的な日常生活の中で、また普段とは違う場所に行くことで生まれた感情を、ストレートな写真だけでなく、コラージュや暗室で色光に露光された印画紙、あるいは壁にテープ留めされた写真を撮影したものなどをその拡がりのまま取り扱ってきた。また、自分だけでなく、自分を取り巻く他者の日常がどのように保たれているのかを探り、そうした人々の生が大きな歴史へと収束されていってしまうことへのささやかな抵抗を、普段は意識に上ってこない捉えがたいものを知覚することのできる媒体として写真を使って現し、表明してきた。
本展では作品はあるか間隔を持って配置され、一つの問題意識の元で一つの展示空間して構成されながらも、小さなテーマがいくつも内包されている。鑑賞者が複数のテーマの重なり合いや響きあいや余白に耳を澄ますことができる展示だ。
タイトル | kanzan Curatorial Exchange 「Spacing」vol.1 |
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場所 | kanzangallery(東京都千代田区東神田1-3-4 KTビル2F) |
会期 | 4月12日(土)~5月25日(日) |
時間 | 12:00~19:00(日曜日は17:00まで) |
休館日 | 月・火曜日 |
料金 | 無し |
URL | http://www.kanzan-g.jp/exhibitions/chihiro-ichinose-2025/ |