東京・新宿の新宿眼科画廊(スペースO)にて10月31日より青木大祐の写真展「MERISIS」が開催される。
青木は自らの身体を事物に見立てたセルフポートレートで作品制作している。写真にカビを発生させる独自技法を用いて表現を行なう。本展では、画家カラヴァッジョの作品をモチーフに、カビを纏ったセルフィーの新作と過去作を披露する。
【ステイトメント】
カラヴァッジョは、キアロスクーロと呼ばれる明暗の強い対比を使い、絵画に劇的なリアリズムをもたらした画家です。
同時に「醜」を描くことで、美の裏側にある老い、死、腐敗といった現実を真正面から扱いました。
彼の光と闇は、腐敗と再生の象徴でもあり、人間の真実に深く迫るものでした。
私もまた、固定された「美」を疑い、カビという有機的な存在を使って作品をつくっています。
骸の上に繁殖したカビは新しい生命を生み出し、光と闇、生と死の境界をあいまいにしてくれる。
その曖昧さは、「シュレーディンガーの猫」のように、生と死が観測されるまで共存している状態に似ています。美と醜もまた、見る人によって揺れ動く、不確定なものだと思うのです。
私の作品はセルフポートレートですが、そこにあるのは個人としての「私」ではなく、ただの肉体、つまり容器のような存在です。
カビを媒介にした身体は、生と死、腐敗と再生の間を行き来する“観測される前の身体”であり、そこに私は美のゆらぎを感じています。
いま、ステレオタイプの美が崩れつつある時代に、私はカラヴァッジョの絵画を出発点に、光と闇そして「カビ」のあいだに潜む新しい美のかたちを作品として展示いたします。
| タイトル | 「MERISIS」青木大祐写真展 |
|---|---|
| 場所 | 新宿眼科画廊(スペースO)( |
| 会期 | 10月31日(金)~11月5日(水) |
| 時間 | 12:00~20:00(水曜日17:00まで) |
| 休み | 無し |
| 料金 | 無料 |
| URL | https://daokis.com/ |
