10 June 2026

Nerholの新章、写真と彫刻で探る見えない身体の輪郭

10 June 2026

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グラフィックデザイナー・田中義久と彫刻家・飯田竜太により2007年に結成されたアーティストデュオ・Nerhol(ネルホル)の新作展「Unseen Body」が東京・六本木のYutaka Kikutake Gallery Roppongiで開催中だ。

写真と彫刻を往還しながら探求を重ねるNerhol独自の実践は、連続写真の束に彫刻を施す初期のポートレート作品から、帰化植物や珪化木をめぐる近年の実践に至るまで、国内外で高い評価を獲得してきた。千葉市美術館における大規模個展「水平線を捲る」(2024年)および、埼玉県立近代美術館での「種蒔きと烏 Misreading Righteousness」(2025年)を経て、結成以来の表現活動を振り返り、新たな境地への幕開けを宣言。本展では最新作を中心とした展示構成にて、Nerholの多層的探求とその現在地を明らかにする。

連続撮影した写真の束を彫り刻むというNerholの実践は、さまざまな領域に広がりを遂げつつ、深化を経てきた。人物にはじまり、帰化植物、エドワード・マイブリッジの連続写真に至るまで、取り扱うモチーフを広げてきた Nerholは、近年、数万枚にもおよぶ動画の静止画を縦に積み重ね、その積層を横から見せるという新たな試みを展開している。

本展にて二人が取り組むのは「身体(ボディ)」という主題だ。プロの人体モデルを撮影した映像から数万枚に及ぶ静止画を出力し、それらを手作業で裁断した短冊が積み重ねられる。「Hidden Crevasse」(隠れた亀裂・裂け目)と題された本シリーズは、鑑賞者を肉眼では決して捉えることの出来ない、ミクロな時間軸、不可視の閾、存在の隙間へと誘う。生のはらむ多層性への挑戦、物理的世界の断面にくさびを打ち込み、それらを別の位相から捉える試みともいえるだろう。

一方、隣には同じ被写体を撮影した静止画の出力を平面方向に積み重ね、従来通りに彫りが施された作品が並ぶ。初期の頃には数百枚におよぶ枚数が重ねられていたというこのシリーズは、本作において極めて枚数が減じられている。縦方向への数万枚の積層と、わずか数枚の、しかし同じ身体の重なる位相を切り取って彫られた作品との対比的構図は、時間と空間への思索を内包しながら、その探究の重層性を鮮やかに示している。

時間と空間、可視と不可視、マクロとミクロ――写真と彫刻を行き来してきたように、次元と概念を往還しながら発展と深化を続ける Nerhol。その探求は、本展において身体というモチーフを通じ、より見る者との繋がりをひらき、豊かで多層的な現実の可能性への気づきをもたらす。見る者の姿を映し出す珪化木――数万年の歴史と現在を繋ぐ錫の鏡面によって――で行われた試みが、鑑賞者それぞれに内在化するゆえに、彼らをより作品へと結びつける「身体」の主題および実践へと発展を遂げたと解釈することも可能だろう。2024年には、斬新な取り組みの成果が評価され、令和6年度芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した。絶え間ない考察と実践を重ね、二人はさらなる新境地を目指す。

タイトル

Unseen Body

場所

Yutaka Kikutake Gallery Roppongi(東京都港区六本木6-6-9ピラミデビル 2F)

会期

5月23日(土)〜7月18日(土)

時間

12:00~19:00

休み

日・月曜日・祝日

料金

無料

URL

https://www.yutakakikutakegallery.com/ja/exhibitions/unseen-body/ 

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