ジル サンダーの世界観を求めて、
マリオ・ソレンティが旅した鳥取・島根

22 March 2019

AREA

東京都

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クリエイティブ・ディレクターに、それぞれのキャリアを生かしてクチュールメゾンとストリートブランドの双方を融合させるルーシー&ルーク・メイヤー夫妻が就任して以来、シーズンを経るたび注目度が増しているジル サンダー。そのミニマルで構築的なスタイルは、コレクションはもちろんのこと、そのクリエイティブも彼らならではの世界観とアプローチで展開されている。

2018年の春夏・秋冬のキャンペーンは、ドイツ映画の巨匠ヴィム・ヴェンダースがムービーを撮影。さらに2019年春夏キャンペーンはファッションフォトグラファー、マリオ・ソレンティがスティルとムービーを手掛けたが、鳥取、島根を舞台にしたというシチュエーションの意外性が魅力。日本のそれも山陰地方で、ブランドの誠実さ、本質、温かさを表現したという。

電車を待ち、街を歩き、鳥取の有名な旅館・東光園で温泉に入る……切り取られた沿岸の景色の中を旅する男女2人の姿は叙情性に富み、ノスタルジック。まるでトーキー時代の無声短編映画のような、モノクロームのムービーはラフな仕上がりより一層親密な雰囲気でストーリーを想像させ、2分30秒の世界に没入させる。私たち日本人にとっては見慣れた風景だが、こうしてあらためてソレンティの手にかかると新鮮な視点が与えられるのが、さすがというべきだろうか。高画質なムービー全盛のデジタル時代に、あえてフィルムビデオで撮影されたかコマ送りのような質感の演出がかえって心地よい。

自転車を漕ぐ人、行き交う自動車、何気ない地方の人々の営みにジル サンダーという“モード”が挿入されるのだが、違和感なく溶け合っている。それはメイヤー夫妻のクリエーションが場所、時、文化などに依存しない普遍性を持つことの証なのかもしれない。

3月20日(水)〜3月26日(火)まで伊勢丹新宿店3Fにオープンするポップアップショップで、ジル サンダーLINE@友だちのみに今回のフォトストーリーが収められたブックが配布される。フィジカルなアウトプットとして楽しんでみてはいかが。