人間の視覚というものは、色、形状、時空間、奥行き、動体など、さまざまな視覚特性を持っているが、普段、私たちが「見ている」(と思っている)ものというのは、どれくらいなのだろう。よく昆虫や動物には、人間とは異なる視覚、知覚が備わっているというが、私たちには膨大な「見えないもの」が存在する。
今回プラダ リネア・ロッサを被写体に撮影したのは、写真家の苅部太郎。これまでも、目の前の現実と頭の中に生まれる像(イメージ)との関係性を写真で考察してきた苅部だが、今回は、冬の東京の街中でスタイリッシュなアウターをサーモグラフィーカメラで撮りおろし、目に見えない世界を可視化し、知覚することを表現している。
プラダ リネア・ロッサは、スポーツの世界にインスパイアされ、ストレッチジャージー、ナイロン、テクニカルニットを組み合わせた高機能かつスタイリッシュなシリーズ。動き、軽さ、着心地の良さといった機能性を追求しながらも、タウンユースにも映えるモダンなデザインが魅力だ。一目でそれとわかるブラックにリネア・ロッサレッドのカラーパレットを効かせた仕上がりには、ファンが多い。一部のファブリックには、プラダが独自に研究開発したExtreme-Tex®️を採用。軽量でありながらも撥水性に富み、かつ優れた体温調整を実現してくれる。最新テクノロジーを生かしながらも、防水加工中にフッ化水素や有機毒性物質を発生させない環境汚染のない工程から生まれる、サステナビリティの高い生産方法で作られる現代にふさわしいテキスタイルだ。
パンデミックの渦中で、体温を計測することが当たり前となった私たちの日常。また、環境に最大の配慮を払うことが、すでに私たちに課せられた大きなミッションであることは間違いない。私たちが身の回りの世界について持っている情報は視覚に限らず、想像しているよりずっと部分的で、目には見えない関係性で満ち溢れていることを苅部は仄めかしている。私たちが知覚できる以上の規模で世界で起きていることへの想像力を提起するこの表現を、あなたはどうとらえるだろうか。
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。