アメリカ人フォトグラファー、ショーン・ヴェジェッツィの作品集がLoose Jointsより刊行された。
本書はニューヨーク・ロウアー・マンハッタンの地下に存在する洞窟のような広い空間を中心とした、アーティストたちの10年間におよぶ活動を記録した一冊である。
舞台となったのは、1970年代にニューヨーク市都市交通局による地下鉄2番街線計画の一環として建設されたトンネル区分のひとつ。1919年に計画が始まったものの、世界恐慌や1970年代のニューヨーク市の財政危機などで計画が延期し中断されたため「幻の2番街線」と呼ばれ、2017年にようやく一部のみ開通した曰くつきの場所であった。『DMYCC』は、その場所に関連した名称の頭文字語であり、かつそこへ行きたいという願望を表した形であり、制作活動の業務記録帳のようなものであり、プライベートでレクリエーション的なアーティスト達の占有地のドキュメンタリーである。
緩やかな時系列に沿ったストーリー形式で構成された本書は、結果として広範囲におよぶこのテリトリーのマッピングとなっている。初期の探索の様子が写った記録は、アナログ写真やビデオスチール、レシート、設計図にまでおよび、細部にまで触れながらも堅苦しさを残したアーカイブ的な構成を崩さず、公的文書のように収められた記録写真がレポートとして作品のコンセプトを着地させている。
タイトル | 『DMYCC』 |
---|---|
出版社 | |
価格 | 7,000円+tax |
発行年 | 2017年 |
仕様 | ソフトカバー/205mm×290mm/624ページ |
URL |
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。