アメリカ人フォトグラファー、ボビー・ドハティの作品集『SEABIRD』がLoose Jointsから刊行された。
真っ赤なテーブルクロス上の磨き上げられたグラスや柔らかい葉の上に落ちたみずみずしい雫など、本作のイメージは極端に単純化されているように一見思われる。物や状況は煮詰められ、その基礎成分だけが後に残っている。ドハティは、日常における深い意味をもつものと無意味なもの、その両方を同じ分だけ瞬時にイメージの中に閉じ込める技量を持っており、例えば感情に語りかけてくる牧歌的な風景やポートレートが街中のごみや動物、食べ物、花と隣り合わせに配置されている。
最後まで目を通していくと、小さいものと大きいもの、ありふれたものと崇高なものがページを超えて手を握り合い、その作品からは写真的な平等主義を感じることができる。元来静物写真が評価されてきたが、自らのイメージをカテゴリーに当てはめたり過度に分析することは意図的に避けているドハティ。結束や過去を顧みるといった観点は気にも留めず、ありとあらゆるものを常に撮り続けていたいという衝動に突き動かされて制作する作家の系統に属する者として自らを位置付けている。写真に対するこのような開かれた感覚の中で、本作のイメージは全体としてひとつの人間味溢れるタペストリーとなり、気分の変化や感情の動きがそれとなく示されている。
タイトル | 『SEABIRD』 |
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出版社 | |
価格 | 5,800円+tax |
出版年 | 2018年 |
仕様 | ハードカバー/160mm×240mm/224ページ |
URL | https://www.twelve-books.com/collections/all/products/seabird-by-bobby-doherty |
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。