ラセット・レダーマンが共同創設者でもあるプロジェクト「10×10 PHOTOBOOKS」から、作品集『WHAT THEY SAW: HISTORICAL PHOTOBOOKS BY WOMEN, 1843-1999』が刊行された。
「10×10 PHOTOBOOKS」とは、写真集の魅力の普及、理解を通じて世界規模の写真集コミュニティを育むことを目的とし、写真集の歴史を研究し続けているニューヨークの非営利団体。本書は、2000年から2018年の間に制作された現代の女性による写真集を紹介する『How We See: Photobooks by Women』に続く第二弾のプロジェクトとなっており、写真のはじまりから21世紀にかけて女性作家によって制作された写真集がまとめられている。アーティストの地理的・民族的な多様性をはじめ、古典的な装丁の本やポートフォリオ、個人アルバム、未出版書籍、ZINE、スクラップブックなど、さまざまな形で発表され約250冊もの女性による歴史的な写真集を、広い意味で解釈した1冊となっている。
掲載されているのは、アンナ・アトキンス『British Algae: Cyanotype Impressions 1843-1853』をはじめ、比較的に知られていないアリス・シーリー・ハリス『The Camera and the Congo Crime』(1906年)、バーバラ・ステパーノヴァ(Varvara Stepanova)『Groznyi smekh. Okna Rosta』(1932年)、グレタ・アレグレ・サルファティ(Gretta Alegre Sarfaty)『Auto-photos: Série transformações&mdash1976: Diário de Uma Mulher&mdash1977』(1978年)、日本の作家では山沢栄子『Far and Near』(1962年)に至るまで、幅広い作家の作品が並ぶ。現代写真史における顕著な格差や疎外、特に西洋人以外の女性や有色人種の女性の写真集に対するアクセス、サポート、資金提供の欠如についても問題提起されている。
また、本書は2021年「Paris Photo-Aperture Foundation PhotoBook Awards」において、展覧会カタログや美術館の出版物のための部門「Photography Catalogue of the Year Prize」でグランプリを受賞。これまでに語られなかった声が可視化された、写真史においても重要な1冊。ぜひ手にとってみてはいかがだろうか。
タイトル | 『WHAT THEY SAW: HISTORICAL PHOTOBOOKS BY WOMEN, 1843-1999』 |
---|---|
出版社 | 10×10 PHOTOBOOKS |
出版年 | 2021年 |
価格 | 11,000円 |
仕様 | ソフトカバー/300mm×240mm/352ページ |
URL | https://twelve-books.com/products/what-they-saw-historical-photobooks-by-women-1843-1999 |