写真家・映像監督の奥山由之がデビューから12年間にわたり手掛けてきた数々のクライアントワークを1冊にまとめた写真集『BEST BEFORE』が、青幻舎より刊行された。
2010年のデビュー以来、数々の写真集や展覧会で精力的に作品を発表し続け、写真新世紀優秀賞や、講談社出版文化賞を受賞。近年では、話題のMVやTVCMを数多く監督し、まさに現在のクリエイティブシーンを牽引している奥山。本書は、奥山が作品制作と並行してこれまでに撮影してきた“クライアントワーク”に焦点を絞り、デビューから現在に至るまでの12年分の仕事を1冊にまとめた、自身初のクライアントワーク集。収録作品は奥山自らがセレクトし、作品総数445点、512ページの大作。奥山がデビュー以降、クリエイティブシーンに刻んできた影響の大きさと、唯一無二の存在感を物語る1冊となった。
クライアントや被写体と真摯に向き合い、じっくりと丁寧に関係性を築き上げ、極限までアイデアを考え抜き、試行錯誤の検証を繰り返した先に辿り着いた、まさに結晶のような写真群は、クライアントワークではありながら「広告的なもの」「商業的なもの」とは明らかに一線を画し、“写真表現”として語りかけてくる強さや個性がある。また奥山の表現は、色味や質感といった表面的な統一感がなく、まるで子どもが遊び散らかした部屋さながらの混沌、パワフルさ、無邪気な情熱に満ち溢れている。多重露光、エマルジョン・リフト、スローシンクロ、コラージュ、複写、感光……などといった緻密に計算された実験的な手法によって生み出された作品から、瞬発力を活かして決定的瞬間を切り取ったドキュメント写真まで、ジャンルを超えて作品ごとに更新されるそのスタイルは、一回一回の撮影を徹底的に突き詰める奥山だからこそ成せる業といえる。多岐にわたりインパクトを残し続ける奥山の仕事。そこに太く貫かれた「奥山らしさ」とは一体何なのか。読者は、ページを捲るごとに、個性的でユーモア溢れる奥山の世界観に惹き込まれ、圧倒的な視覚体験をすることになるだろう。
本書のタイトル「BEST BEFORE」は“賞味期限”を意味する言葉。この一見アイロニカルなタイトルは、本書に収録された作品の輝きが永遠に色褪せないことを証明するため、逆説的に名付けられた。
タイトル | 『BEST BEFORE』 |
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出版社 | |
出版年 | 2022年2月上旬 |
価格 | 【通常版】8,800円【限定版】 16,500円 |
仕様 | ハードカバー/B5変形/512ページ |
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