生前に発表した作品全点を収録する決定版『牛腸茂雄全集 作品編』

牛腸茂雄『牛腸茂雄全集 作品編』が赤々舎から発売された。

国内外で日本写真史、特に1960年代以降の写真史再考の機運が高まる昨今において重要な作家の一人と位置づけられる牛腸茂雄（1946-1983）。しかしその全体像を俯瞰できる書籍が入手しにくいことからこの全集は企画され、本書は牛腸が生前に発表した作品全点を収載する決定版となる。

「作品編」（本書は『牛腸茂雄全集」全2巻のうち「作品編」に当たる。「資料編」は2023年11月刊行予定）には、生前に刊行された4冊の作品集『日々』『SELF AND OTHERS』『扉をあけると』『見慣れた街の中で』所収の全点と、生前に発表、もしくはまとめられた 2 つの連作〈水の記憶〉〈幼年の「時間 」〉全点が制作年代に沿って収録されており、刊行時の書籍に掲載されていたテキストもその多くが再録されている。

牛腸が遺したヴィンテージプリントやフィルム原板を印刷の指標とし、その制作意図を現代の技術によって可能なかぎり再現。また巻末には冨山由紀子（写真史研究者）による論考や年譜、作品リストを収録。