日本人写真家、井津建郎の写真集『FUZHOU』がNazraeli Pressより発売された。
2016年に井津が出会った馬氏。彼は自身の故郷である中国・江西省の抚州(ふじょう)の一部が新しく建設されるダムによって水底に沈むことを知り、明や清の時代から残る歴史的な石造りの邸宅や、おそらく千年近い樹齢を数えるであろう木々を後世に残すため、何百キロも離れた場所にリゾートを建設し、そこへ解体した故郷の建物と1万本を超える木々を移送・再建して故郷を再現した。本書は、馬氏の情熱に感動した井津によって立ち上げられた写真プロジェクトをまとめたものである。
水没した村でも水没を免れた村でも多くの若者は職を求めて大都市へ去り、村には老人だけが残った。彼らは生まれた村で、かつて先祖が暮らしたようにそこで暮らし、死にたいと願う。抚州はダム建設の前にここで生きた人々の生活の名残を今に伝える象徴的な場所となった。過去への架け橋となる可能性を持ちながら、文明発展という大義の陰に消えていった地球上のさまざまな場所を観る者に想起させるだろう。
タイトル | 『FUZHOU』 |
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出版年 | 2021年 |
価格 | 8,800円 |
仕様 | ハードカバー/220mm×300mm/90ページ |
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