IMAプロジェクト主催の写真コンテスト「IMA next」第24弾のテーマ「MEMORIES」のグランプリ受賞者が発表された。
グランプリは、髙橋実希の作品「Specimens」。本作は、歳を重ねていくごとに体感が早まる時間の流れが進んでいることを確かめるために、記憶の手がかりとなる写真をプリントし混ぜ合わせて“標本”にした作品。審査員を務めたアメリカの写真家・キュレーターのティム・バーバーは選評として下記のように述べている。
“ 高橋実希さんの作品は、抽象化され、咀嚼された記憶の断片としての写真の概念をリテラルに具現化しています。構築されたイメージの原材料を「手がかり」と称し、蓄積された「今」のかけらが「時間の標本」として姿を現すと話していました。記憶は曖昧で、時間の経過は自分自身の記憶をも不明瞭に歪ませます。同じように、写真もあてになりませんよね。正しくも間違っているわけでもなく、主観的な証拠の一つであり、徐々に紐解かれていく存在という謎の「手がかり」です。高橋さんはそうして過去を探究し、物証をつなぎ合わせることで、詩的かつ不確定なシナリオを描き出しています。 ”
なお、今回、ショートリストに入賞した93名の作品はティム・バーバーによってキュレーションされ、作品集として公開された。公式サイトにはショートリストの選評と受賞作品がそれぞれ掲載されている。
タイトル | 「IMA next」THEME #24 “MEMORIES” |
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審査員 | ティム・バーバー |
グランプリ | 髙橋実希「Specimens」 |
ショートリスト | 柏瀬克也/リンビョウ・チン/藤林彩名/中井 伸治/穴見春樹/アマデウス・シュフィエルク/福井 達也/松本翔太郎/坂々なな/小山 素直/吉岡沙莉/Jialin Yan/殷鶯/山本 潤/奈良怜/青木優太/小嶋優太/山口 哲嗣/かねこゆみ/川田勝一/桃井敦史/コスマス・イリアディス/黒雀/Hide/アガタ イザベラ オルゼフスカ/長谷川愛児/近澤祐貴/村田啓/Ryu Kooriyama/三澤陽輔/ギルバート レザ プトラ/けんごりら/SKID/秋山直子/瑛 香/Coyuki/kj/梅木遥平/森澤智啓/Shaun Fox/古賀李成/Qi Sun/Allen Thomas/川﨑升/大城幸平/tao chen/大知 原嶋/丸岡夢/小澤塁/菊池雄介/小松敦/河合ゆう子/佐野貴明/HIROCKO/黒田和男/大実 朝香/植松 純/J CUB/古里裕美/広太 篠崎/アクセルバル ヨーガン/猪花 茉衣/宮本遼/柴田佳代子/Jing Guo/ROLLSWYZE/akisome/富岡そよぎ/村岡里梨/アントニオ・ペレズ/JESSA’n’/常川七海/永田一樹/アースタ・マンチャンダ/千葉慎也/Yannick Tossing/石田浩亮/矢島源太郎/Photo Retsu/Lumpho/ミハイロ・ボチカロフ/徳田優一/オカモト ヨシ/Nobu Tanaka/坂井花/Manamai Eguchi/林詩硯/柏田テツヲ/盛島晃紀/馬場真海/有光悠希/小濵龍平 |
URL |
▼グランプリ
髙橋実希「Specimens」
歳を重ねていくごとに時間の流れの体感が早まっている。
進んでいることを確かめるため、
とり留めのない日々を記録したり、
今まで撮った写真を見返す。
日々の手がかりから連想されることはいつも曖昧だが、「今」があったことを明確に示している。
数が増える事で、徐々に時系列が混ざり合っていく。記憶の手がかりをプリントし、触れながら、実際に混ぜてみる。
それらは、私の意識をとびこえて時間の経過を伝えてくれる。
「今」が蓄積された塊は、時間の標本だ。
見つめ直す作業の中で、当たり前すぎて見過ごしていたものたちに、どこか愛おしさが湧いてくる。
これらの標本をどれだけ残せるだろうか、試してみようと思う。
髙橋実希|Miki Takahashi
1996年、静岡県生まれ。2019年、東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。現在、都内スタジオに在職中。大学在学中よりカッターや糊を使用し、アナログコラージュを制作。
▼ショートリスト
今回のショートリストは、審査員のティム・バーバーが数ある応募作品の中から作品を厳選しひとつの作品集としてキュレーションした。
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