最新デジカメからヴィンテージライカまで揃う、新宿 北村写真機店が歴史もまとう貴重な過去のカメラを紹介。デザインも機器としての描写力も手に取って確かめたくなる魅力に溢れる名機たちは、きっと作品制作のモチベーションを高めてくれるはずだ。
撮影=高橋直也
文=新宿 北村写真機店
連載3回目となる今回は、ライカの「最も基本の形」といえるライカA型をご紹介します。このA型は1925年に市販されたモデルで、日本やアメリカではA型と呼称されていますが、ドイツではI型と呼ばれます。距離計のないファインダーとレンズ固定式のライカで、アンリ・カルティエ・ブレッソンも愛用していました。
A型はいろいろありますが、紹介するモデルは4000番台で、1926/27年製の旧エルマー付きです。シャッター・レリーズはマッシュルームタイプ。巻き上げ・巻き戻しノブには矢羽根が付いており、希少な個体です。状態が良い箱やケースなど付属品もそろっています。付属品は、単品でも探していらっしゃる方が多い人気のアイテムです。
A型のボディは、板金組み立ての内部構造。50mm/f3.5レンズは固定装着式。初めは3群5枚のライツ・アナスチグマットでしたが、No.300頃からエルンスト・ライツの“エル”と設計者マックス・べレクの“マックス”を組み合わせてエルマックスと改名されました。しかしコスト面から、No.1300頃に新種ガラスを用いた3群4枚のエルマーになります。エルマーは当初ベルリンのC.P.ゲルツ社からガラスを仕入れて製造していましたが、1926年にゲルツがツァイス・イコン社の結成に加わったため仕入れられなくなり、止むなく他社のガラスを用いることになりました。
前者を旧エルマー、後者を新エルマーと呼び、旧エルマーの方が希少です。エルマーの最短撮影距離は通常1mですが、輸出用の一部に回転ヘリコイドのピッチを変えて0.5mとしたものがあり、これは近接エルマーと呼ばれています。また明るいレンズをという要望に応えてNo.38662以降、3群6枚で50mm/f2.5のヘクトール付きのものも造られるようになりました。ちなみにヘクトールはべレクの愛犬の名前のことです。
ライカA型は、もうすぐ発売から100年になりますが、しっかりメンテナンスをすればいまでも問題なく使用可能です。レンズはライカを代表す柔らかさとシャープさを併せ持つ描写が美しい。100年前のカメラが写したものと思うと、ほかにはない感動を得られるのではないでしょうか。
新宿 北村写真機店
世界一のカメラストアをコンセプトに2020年新宿にオープン。新品・中古カメラやグッズ、ギャラリーやセルフスタジオ、子供写真館が揃い、機材だけに留まらない豊かなフォトライフを提供している。
東京都新宿区新宿3-26-14
10:00~21:00
https://www.kitamuracamera.jp/ja
気軽に応募できるオンライン写真コンテスト「IMA next」
IMA主宰の「IMA next」は、毎月開催のオンライン写真コンテスト。月毎に国内外の写真界からゲスト審査員を迎え、1テーマで作品を募集。グランプリには賞金10万円や、審査員またはIMA編集部によるポートフォリオレビューも。1年中、新たな才能を発掘しています。