慌ただしい日々
ここしばらくは公私ともに忙しく過ごした。
仕事面では主に10月から始まる個展の準備。展示、図録、グッズの打ち合わせ、展示空間の構成や新規撮影、プリント、色見本制作にネガの整理、図録のためのレイアウト、テキストのチェック、図録に収録されるための対談など。いままでの経験のなかでも大規模な個展であり、新作も多いので準備することが多い。毎日投げられる球を打ち返し終わると、次の日にまた新たな球が飛んできて、打ち返して、を繰り返しているような感じである。
家庭面としては娘がふたつ習い事を始めたのでその手続きや、銀行にあらたに口座開設に行かないといけないなど細々したことで時間を取られた。習い事に付属する専用のリュックなど購入し、そういえばランドセルってもう買ったほうがいいのだっけ、、と調べてみると人気のタイプはすでに売り切れていると知り、焦って購入したりなど。幼児期から卒業しかけていることによる諸々の雑事が増えてきた。
そして夏が始まったので、夏の思い出作りにも忙しい。夫の実家の天草で海水浴へ連れて行き、自宅で過ごす休日は基本川遊び。そして流しそうめんもやってみようか!など。
そしてコロナ禍でずっと会えなかったヨーロッパ在住の友人たちが久しぶりに帰国し、入れ替わり立ち替わりにうちに滞在してくれたので、会えなかった数年分のおしゃべり欲を満たすため、前のめりで会話しながらお互いの子どもたちが遊ぶ姿を見て目を細めたりした。
そういった慌ただしい日々だが、洗濯中にメールの返信、米を研いで寝かせているあいだにプリント作業、といった家事と仕事を並行しながら進めることは自分には向いているし、そのほうがむしろ効率が上がるので、積極的に同時進行させることが多い。
とはいえ更年期真っ只中なので体調は常に良くはなく、毎朝目覚めがすっきりせずに起き上がるのに一苦労。午前中に仕事に集中できるものの午後の数時間は頭が回らず、疲労感が強くなる。その上ここしばらくの激しい暑さでひどいときはめまいもあり、効率がとにかく悪い。夕方少し体調が戻って仕事に集中しかけると娘が保育所から帰ってくる。夫と娘が風呂に入っているあいだに今日できる仕事をできるだけ片付けつつ、その後夕飯の準備で1日はすぐに終わってしまう。
更年期と幼児の子育てが被るなんて、超高齢出産ではそうなるだろうとわかっていたものの、いざ実際になってみると身体がついていけないときもある。そういうときはただ諦めて横になり、具合の悪い波が去るのを静かに待つ。時々娘があたまに手をあて、だいじょうぶ?と心配してくれる。その手を握り、娘の体温を感じて少しほっとする。身体的にはきついときがあっても、この人の存在があるから精神的にはとても助かっている。
いつかこの手が離れていく日には、このばたばたの日々を懐かしく思うのだろう。
>「川内倫子の日々」連載一覧はこちら