戦後日本を代表する写真家 ・奈良原一高の最初の写真集となる『ヨーロッパ・静止した時間』が、新たな造本仕様にて復刊ドットコムより刊行される。
本書は、いまから55年前の1967年5月に鹿島研究所出版会より刊行された。1962~65年まで約3年間におよぶ欧州滞在中に撮影した写真には、ハイコントラスト、魚眼レンズ、コラージュ、長時間露光、特殊加工など、当時は正統なものと認められていなかったさまざまな撮影技法が駆使されている。モノクロームとカラーで構成された奈良原独自の視点でヨーロッパを日本人の心象風景ととらえ撮影された135点ほどが収録されている。発表当時には賛否両論を呼んだこの写真集によって、芸術選奨文部大臣賞、毎日芸術賞、日本写真批評家協会作家賞と名だたる賞を受賞。名実ともに奈良原の代表作として名高い作品となった。
今回、奈良原の著作権管理を行う奈良原一高アーカイブズ協力のもと、当時のページネーションを生かした新たなページ構成、写真集としての開きやすさ、手に取りやすさにこだわった造本で新装版としてまとめ直すのが今回の『ヨーロッパ・静止した時間 WHERE TIME HAS STOPPED』。特に、作品の流れとして大切な位置づけとなっている横位置に構成されたダイナミックな写真を、観音開きという特殊製本により俯瞰して見ることのできるようレイアウト。芸術的とも呼ばれるその表現、構成力を存分に味わえるように工夫された。巻末には、東京国立近代美術館 美術課 主任研究員を務める・増田玲による作品解説も収録される。
タイトル | 『ヨーロッパ・静止した時間 WHERE TIME HAS STOPPED』 |
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出版年 | 2022年 |
価格 | 16,500円 |
仕様 | ハードカバー/A4/204ページ |
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