岡本太郎記念館では企画展「佐内正史 雷写」を2026年3月14日より開催中だ。岡本太郎と写真家・佐内正史、2人のアーティストが時代を超えて対峙する。

岡本太郎記念館館長・平野暁臣 コメント:
「この人の写真はどこか太郎とおなじ匂いがする。
はじめて佐内正史の作品を見たとき、そう直感しました。むろん“作風”が似ているからではありません。中身になんら共通点はないけれど、画面の“向こう側”に同質のネイチャーが透けて見えるような気がしたからです。
一言でいえば、写真が『文脈』や『物語』から自由であり、それゆえに“お仕事”の匂いがしない。
一般に、写真家の撮る写真にはミッションがあり、テーマがあり、メッセージがあります。撮影対象が人でも風景でもブツ撮りでも、あるいは受注仕事だろうが自主的な“作品づくり”だろうが、この点においては変わりがありません。
商業写真にしろ芸術写真にせよ、主眼はメッセージのデリバリーにあり、作品はいわばヴィークルのようなもの。ゆえに力のある写真ほど暑苦しい。
ところが太郎と佐内さんの写真には、見る者を説き伏せようとの意思がみじんも感じられないし、マーケティングの気配もありません。端的にいえば、『撮った』のではなく「撮れちゃった」ように見える。
おそらく彼らは、『撮ろう』と考えるより先に、五感が『お、いいぞ!』と囁いた瞬間にシャッターを切っている。なにを撮ろうか、どう撮ろうか、なんてことは考えず、対象から放射される“波”を傍受し、直観するだけ。だから文脈や物語とは無縁なのでしょう。
太郎は『芸術なんてなんでもない。道端の石ころとおなじだ』と言いました。たぶん佐内さんも『写真なんてなんでもない。拝まないでくれ』と考えている。
そんな佐内さんにTAROと向き合ってもらいました。
太郎の絶筆『雷人』に眼が釘付けになった彼は、自らの撮影原理を『雷写』と銘打ち、TAROとの対話にのめり込んでいきます。展示作品の過半を撮り下ろしただけでなく、350頁におよぶ同名の写真集を刊行するなど、その熱量は尋常ではありません。時代を超えて対峙するふたりのアーティストの相貌をどうぞご覧ください。」

佐内正史 コメント:
「『あっ』て言って仰け反って、『あーっ』て言って終わる。写真の中の擬態語が聞こえてくる。ピカって光る、ストロボは焚かない。雷人を箱から出した時、アトリエが明るくなった。いつか言った、写真に撮らなくても写真だった。
2025年夏から冬、毎週火曜日岡本太郎記念館で太郎さんが描いた絵の撮影をした。色んな表情のまるいものがいっせいに走ってくる。
雷人を撮っている時に、この撮影の旅は終わると思った。ストロボは焚かないけど、光っている、雷、私は雷人写真人。年末年始に静けさの中プリントができて、気持ちがすっきりした。神社とか墓参りに似ている、目がよくなる、死者と話す、中で少し動いてる、写真の印象、言葉が無いから軽くなる、幾何学に見えてくる、記憶が違う風景、表面に浮かんでる黒、素朴で思いやる、写真からはみ出していく、懐かしい平面。」
| タイトル | 佐内正史 雷写 |
|---|---|
| 場所 | 岡本太郎記念館(東京都港区南青山6-1-19) |
| 会期 | 3月14日(土)~7月12日(日) |
| 時間 | 11:00~18:00(最終入館17:30) |
| 休み | 火曜日(祝日の場合は開館) |
| 料金 | 一般 650円/小学生 300円 |
