渋谷ヒカリエ 9Fのヒカリエホールで開催中の「まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険」と連動し、東京・渋谷のMINA(Museum of Imaginary Narrative Arts)では同展にも参加している長島有里枝の個展「before the dog, behind the cat」が開催される。
本展は、「アーカイブ」を起点に、時間の経過により作品はどのように経験されうるのか、また作家にとってどのような存在としてあり続けるのかを考察する。ミュージアムは本来、記録と保存のための装置だ。その記録は固定されたものではなく、誰の視点によって選ばれ、どのように編集されるのかによって異なる姿に変化する。長島有里枝はこれまで、写真を出来事の証拠としてではなく、関係のなかで生成される「痕跡」として捉え、セルフポートレートやスナップを通して、時間の中で変化し続ける自己や他者のあり方を記録してきた。
本展は3つのシリーズで構成される。
(1)2025年の「Garage Sale」展で発表した、旧作に猫の写真と絵をコラージュしたシリーズ
(2)MINAの所在地が渋谷であることから、1994年にセンター街の入り口でティッシュ配りのアルバイトをしていたとき撮影したストリートスナップ
(3)ネガの中にある、いつ撮影したか思い出せない写真を合板にアナログプリントしたモノクロ作品(2018年製作)をMINAのテーブルにリメイク
今回は、長島の1990年代〜2020年代まで各年代ごとの代表作がアーカイブのように同じ空間に展示されることになる初めての展示。ここで行われるのは、過去作品の再展示ではなく、記録されたイメージに再び作家本人が介入し、別の時間を重ねるという行為だ。発表された時点で完成されたものとして固定されるのではなく、繰り返し編集され、変化し続ける存在として私たちの前に現れる。写真作品が鑑賞の対象にとどまらず、触れられ、使われることで、来場者の身体的な経験として記憶に組み込まれていく。
ミュージアムに作品が収蔵されることは、評価や保存という意味で重要である一方、展示されない時間が長くなるにつれて、作品が人々の記憶から切り離されていく側面もある。それは、作品の変化や更新の機会が失われ、ある種の停止した状態に置かれることだと考えることもできる。だからこそ、本展は「生きているアーカイブ」として構想し、作品の変化し続ける可能性を止めないこと。またその実践を通して、記録とは何か、そして作品はいかに時間の中で在り続けるのかを問いかける。
| タイトル | before the dog, behind the cat |
|---|---|
| 場所 | MINA(Museum of Imaginary Narrative Arts/東京都渋谷区渋谷3-7-1) |
| 会期 | 7月10日(金)〜 9月27日(日) |
| 時間 | 11:00〜22:00 |
| 休み | 無し |
| 料金 | 無料 ※着席の場合はカフェメニューオーダー |
| URL | https://mina-shibuya.org/products/yurienagashima?variant=46719136989238 |
