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「Le Bal」が見せる、プロヴォークから2010年代の日本写真まで
場所を移して、写真専門美術館「Le Bal」では、世界を巡回中の「PROVOKE」展を開催中。60年代後半に生まれた写真集団「プロヴォーク」から派生する同時代の日本写真を、あらためて多角的にとらえた展示では、アノニマスなプロテスト写真集や荒木経惟のゼロックス写真帖、多木浩二と中平卓馬による『まずたしからしさの世界をすてろ』、東松照明の『沖縄に基地があるのではなく基地の中に沖縄がある』など、おもに当時の写真集を中心に、造本を解体して全ページを見せている。かなりハードコアながら人気のあるプロヴォークゆえ、パリの写真ファンは熱心に鑑賞していた。
その「PROVOKE」展に合わせて、10日(木)の夜に企画されたのが一晩限りのイベント、その名も「日本の出版物の夜(NUIT DE L’EDITION JAPONAISE)」。スーパーラボやReminders Photography Stronghold、SPEWなどの版元に混じって、IMAも参加。雨天にもかかわらず、写真集ファン、日本写真ファンが多数駆けつけ、時間をかけて日本の写真集を吟味し楽しんでいた。人気は、横田大輔の『Matter/Burn out』(artbeat publisher)と田原桂一『1973』(スーパーラボ)の新作2冊で、会場では田原が気軽にサインに応じる姿も見られた。
「PROVOKE」展の会場では、日本からSPEW(宇田川直寛、北川浩司、横田大輔)トリオが、即席で作ったZINEにシルクスクリーンを刷るパフォーマンスも開催。「Le Bal」限定で30冊が販売されレアな機会に、会場の写真ファンたちも熱い視線を送っていた。「PROVOKE」の潮流が現代の写真家たちへと脈々とつながっていく、まさに日本写真の新旧がここパリでひとつになった夜だった。
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