阿部祐己が年間200日以上も霧が発生するという霧ヶ峰を舞台に作品を制作。写真集『Trace of Fog』としてroshin booksから発表した。
石器時代の古来より人が生活を営んできた場所であり、それから後の中世鎌倉時代には武士が五穀豊穣を願い流鏑馬(やぶさめ)などのさまざまな神事を行った場所である霧ヶ峰では、それらの神事がいまも引き継がれている。
阿部は過去の歴史から残る痕跡と現代の人の営みを、定点観測のような視点で写し続けた。そこからは過去から現在、現在から未来、我々はその現在のほんの短い瞬間に生きていると同時に、それを繋いでいることへの確からしさを作品から感じることができる。
時間の感覚をも失う深い霧の向こうには山の住人の気配が、霧が晴れた夜空には満点の星空、日が昇り光が野焼きで形成された平原に差し込む頃に、人々は目覚め新しい一日を再開させる。阿部の卓越した構成力、そして繊細な色表現によって、霧ヶ峰の歴史における儚くも美しい一葉の栞のような一冊が仕上がった。
タイトル | 『Trace of fog』 |
---|---|
出版社 | |
価格 | 4,860円 |
発行年 | 2018年 |
仕様 | ハードカバー/228mm×254mm/80ページ |
URL |
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。