一見、抽象絵画のようにも見える写真が表紙を飾る、水谷吉法の写真集『HDR_nature』。本書には、水谷がカメラの最新テクノロジーを使って、これまでにない自然写真に挑戦したシリーズが収録されている。誰もが写真を撮ることができる現代において、普遍的かつ身近なテーマである「自然」をとらえた写真は数限りなく存在し、新しいものを生み出すのは容易なことではない。水谷の新境地ともいえる本作は、タイトルが表すように「HDR(ハイダイナミックレンジ合成)」という、露出の異なる複数のカットを撮影し、その中から良い部分を抽出して合成することで、肉眼での見え方に近い一枚に仕上げる最近のデジタルカメラに搭載された機能を用いている。水谷はわざとカメラを動かして撮影することで、カメラがブレた瞬間の複数のイメージを自動的に組み合わせ、見たことのないイメージを生成することを狙って制作。こうしたデジタル技術を独自の手法で利用したこのシリーズは、常にテクノロジーの進歩とともに歩んできた写真表現に、また新たなるページを加えた。
なお、10月5日(金)まで天王洲・IMA galleryで同名写真展「HDR_nature」が開催中。
タイトル | 『HDR_nature』 |
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出版社 | アマナ |
価格 | 5,500円+tax |
発行年 | 2018年8月20日(月) |
仕様 | 285×215mm/136ページ |
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