サナ・レートの「Morphologies(形態論)」と題された本作は、植物、身体、色を用いてさまざまな「形態」を探求する。例えば、色鮮やかな花々を、髭もじゃの男性の顔や胸の上に並べたり、血のようにも見える、どろっとした液体の中に浮かべたり。花の蕾、ドライフラワー、年齢を感じさせる肌、赤い液、赤毛の若い女性など、被写体同士の不思議な組み合わせによって非現実味を帯びていく。ファンタジックで魅惑的な物語を描きながらも、自然と人間、生と死の関係性についての問いを投げかける。ただ美しいだけでなく、毒々しさも孕んだイメージは、リアリティとファンタジーの間にある揺らぎをとらえ、レート独自の世界へと観る者を誘うのだ。
(IMA 2018 Winter Vol.26より転載)
サナ・レート|Sanna Letho
1990年、フィンランド・ヘルシンキ生まれ。アールト大学美術学デザイン建築学部でファインアート写真を学ぶ。2018年、第33回イエール国際モード&写真フェスティバルにおいてファイナリストに選出され、市民賞を受賞。ポートレイトおよびファッション写真を専門とし、ヨーロッパを中心に幅広く活動する。
https://www.sannalehto.fi/
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