東京には、個性的なセレクトが光るブックショップが数多く点在する。その中で、アートに力を入れる大型書店や個性的なアートブックやZINEを扱うインディペンデントブックショップなど、写真集を扱う4店舗の書店員が、毎月おすすめの写真集を3冊ずつピックアップ。
セレクト・文=森屋恵美(Shelfオーナー)
自分の道を進んでいく上で、道しるべとなる人物、ともに歩む人物
マーク ジェイコブス、ヴィヴィアン・ウエストウッド、セリーヌ、ルイ・ヴィトンなど、時代時代の旬のファッションブランドの広告写真やキャンペーンフォトを任されてきたヨーガン・テラーは、2005年に写真集シリーズ「The Masters」をスタートしました。このシリーズはヨーガン・テラーが「マスター」あるいは「マスターフル」と信じるものを撮った作品でまとめた小型写真集で、その対象はアーティストやレストランのシェフ、彼自身の祖母のような人物から風景までさまざまでした。今回、久しぶりに出版された新刊となる第4弾は、ヨーガン・テラーにとって最も重要な4人のマスター -、荒木経惟、ウィリアム・エグルストン、ボリス・ミヒャロフ、シャー ロットランプリングに捧げられています。
タイトル | ヨーガン・テラー『The Master IV』 |
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出版社 | Steidl |
価格 | 1,910円+tax |
発行年 | 2019年 |
仕様 | ソフトカバー/230mm×180mm/48ページ |
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1960年代から70年代にかけてアメリカの「社会的風景」を写真に収めたリー・フリードランダーは、日本でもコンポラ写真家の一人として人気の高い写真家です。彼はキュメンタリー写真家として活動するかたわら、長年に渡り親しい写真家やアート界の友人を撮影していました。6冊の写真集をセットにしてスリップケースに収めた本書では、1冊につき1人を撮った作品で構成されています。写真家のウォーカー・エヴァンス、ゲーリー・ウィノグランド、ウィリアム・クリステンベリー、ウィリアム・エグルストン、リチャード・ベンソン、そしてかつてMOMA写真部門ディレクターとして「ニュー・ドキュメンツ」展など多くの写真展を企画したジョン・シャーカフスキー。ポートレート集でありながらも、アメリカ写真史のある時代を映し出すような写真集です。
タイトル | リー・フリードランダー『The Mind and the Hand』 |
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出版社 | Eakins Pr Foundation |
価格 | 15,120円+tax |
発行年 | 2019年 |
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イタリア写真界の大御所にして、ここ数年一般ファンからも人気が高いルイジ・ギリ。ヨーロッパを巡回中の展覧会がこの春パリのジュ・ド・ポーム国立美術館で開催されるのに合わせて出版された関連本です。幾何学者、コンセプチュアルアーティスト、写真家、理論家、編集者など、たくさんの肩書を持つルイジ・ギリとの思い出を、友人で写真家のクロード・ノリが語っています。一緒に出かけた旅行、撮影・現像技術についての意見交換、ネオリアリズム映画についての議論などなど。テキストはフランス語のみですが旅先でクロード・ノリがルイジ・ギリを撮影した和やかな写真が数多く収録され、それらは二人の写真家の友情と、共に過ごした美しい時間を彷彿させます。ルイジ・ギリ自身の作品も16点収録されています。
タイトル | クロード・ノリ/ルイジ・ギリ『l’amico infinito』 |
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出版社 | Contrejour |
価格 | 5,400円+tax |
発行年 | 2019年 |
仕様 | ハードカバー/170mm×220mm/179ページ |
URL |
Shelf
外苑前にあるブックショップ。写真集を中心とした洋書を専門に取り扱っており、店内には希少な本から絶版書までさまざまなジャンルの写真集が所狭しと並べられている。
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前3-7-4
tel / fax: 03-3405-7889
http://www.shelf.ne.jp/
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。