写真はその起源から、絵画との深い関係性を無視して語ることはできないメディアだ。写真家・吉楽洋平は、ポール・セザンヌの静物画を写真で再現することで、絵画と写真の関係、またアートとテクノロジーの関係の再考を試みた。
セザンヌは、1839年、最初の写真ダゲレオタイプが発表されたのと同じ年に南フランスに生を受けた画家。写真の発明が、セザンヌを始めとする当時の画家に与えた影響ははかりしれない。写真という新しいテクノロジーは、画家に絵画の再考を促すことになったからだ。晩年セザンヌは、一点透視図法的な絵画の伝統的技法を離れ、独自の理論を元にした絵画を完成させた。
一方の、マダム・クリコことバルブ・ニコル・クリコ・ポンサルダンは、ポール・セザンヌと同時代の19世紀初頭にフランスを生き、未亡人の女性実業家として、澄んだ美しいシャンパーニュを生み出す新しい技法を開発し、ヴーヴ・クリコを花開かせた。
吉楽は、このセザンヌが物体を多視点から分解し平面上に編集、再統合する技法に現代の3Dスキャンのごとき現代性を見出し、同時代の進取の精神から生まれた記念すべきシャンパーニュを静物画の被写体とした。写真の中で、セザンヌとヴーヴ・クリコの二つの偉大な表現が融合した。
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