25 December 2019

Photobooks of the Year

2019年のベストセラー写真集3冊【book obscura編】

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東京都

25 December 2019

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2019年のベストセラー写真集3冊【book obscura編】 | 2019年のベストセラー写真集3冊【book obscura編】

2019年はどんな写真集が売れたのだろうか?2019年の売上ベスト3といまオススメしたい1冊を、4つの書店が紹介する。第4弾は写真集を専門にアートブックやリトルプレスを取り扱う古書・新刊書店のギャラリーbook obscura。時代にとらわれずにオーナーがセレクトした写真集の並ぶ店内では、どのような写真集が手に取られたのかチェックしてみよう。

セレクト・文=黒﨑由衣(book obscuraオーナー)

ジャック・デイヴィソン『Photographs』

1990年生まれ28歳のイギリス人フォトグラファー、ジャック・デイヴィソン。本書は彼の2007年から2019年までに撮影された写真で構成されています。ということは、彼が16歳だった時からの写真ということです。先人、マン・レイやスティーグリッツ、ウェストンやエルンスト・ハースなどを通って来たのは理解出来ましたが、彼は通って来たどころかか、彼らと対話し共感、共鳴し、それを現代の世界で、デジタルでやってのけたことに驚きを感じました。写真集好きなら、きっと同じことをいうかもしれません。「この歳で、こんな大御所感を出さなくていいのに」。ですが、これを16歳のときから撮影していたのかと圧巻される1冊です。

タイトル

ジャック・デイヴィソン『Photographs』

出版社

Loose Joints

価格

6,800円+tax

発行年

2019年

仕様

ハードカバー/240mm×255mm/136ページ

URL

https://bookobscura.com/items/5dfc70287f164714d6e9fc8b


トーマス・デマンド『THE COMPLETE PAPERS』

「はっきりいって写真家はいらないのではないか」とまで思ってしまった1冊。55歳、ドイツ生まれのトーマス・デマンドは、写真でよくみる素敵な風景を紙だけで制作してしまう人。本書は彼の28年にもおよぶ長い年月の間に制作された作品を網羅した写真集です。本物の風景と紙で作られた風景は比較するものではありませんが、彼の作品の光や風景は全て人工で構成され、それは自然のそれを凌駕しています。写真は嘘つきだと改めて理解をした時、彼は展示(本物の作品を見る)の楽しさ、写真(作品の大きさが解らなくなる)になった時の楽しさ、写真集(それがまとまった)になった時の楽しさを完璧に解っている人なのだと思います。2019年、本当に考えさせられた1冊でした。

タイトル

トーマス・デマンド『THE COMPLETE PAPERS』

出版社

MACK

価格

15,800円+tax

発行年

2019年

仕様

ハードカバー/242mm×295mm/560ページ

URL

https://bookobscura.com/items/5ce78566c843ce61d2a1c7e5


木村和平『袖幕/灯台』

2018年に刊行された、バレエの舞台袖からスポットライトに煌々と当たって輝く少女たちを撮影したカラー写真の『袖幕』と対となる、2019年刊行のモノクロの写真で構成された『灯台』。木村さんは最初からこの2冊をセットにして販売を考えていたそうで、後に発売された『灯台』を見た時にやっと世界が理解出来ました。カラーとモノクロを同時に見ることで、彼は色を捉え、色を配置しているのでは無く、光の層を見て写真を撮っているのだと感じました。Photography(=光の画)を久々に体感した作品でした。1993年生まれの26歳とは思えない、これからも楽しみな作家さんです。

タイトル

木村和平『袖幕/灯台』

出版社

aptp

価格

4,950円+tax

発行年

2018年、2019年

仕様

ハードカバー/188mm×243mm/80ページ

URL

https://bookobscura.com/items/5cce730c415a922782e7c1b6


▼いまオススメしたい1冊

田中ヒロ『Dew, Dew, Dew its』

「天才っているんだな」と、まじまじと思ってしまった人が田中ヒロさんでした。背景が映らなくなる程の大きなフラッシュを焚いて、アメリカをスナップした写真たちは日本人が撮影したと思えない作風。話を聞くと、写真を勉強していたこともなく、写真集をずっと見て来たという訳でもなく、アメリカで仲良くなったバンドマンに「暇ならカメラで撮影でもしてれば?」と渡されて撮り始めたのだと。初めてカメラを手にして撮ったのがこれなの!?と理解を越えた作品たちに、驚愕してしまいました。彼の作品集はフランスとイタリアのダミーブックアワードでグランプリを獲得して刊行されたもの。未だに日本の出版社からは本が出ておらず、海外から写真集が発刊されている、まさに逆輸入型の写真家のひとりです。

タイトル

田中ヒロ『Dew, Dew, Dew its』

出版社

Asian Man Records

価格

3,000円+tax

発行年

2012年

仕様

ソフトカバー/202mm×267mm/105ページ

URL

https://bookobscura.com/items/5c3882c8144448203b593d39

book obscura
吉祥寺の井の頭公園を抜けた先にある、写真集を専門にアートブックやリトルプレスを取り扱い、2、3週間に一度展示内容を変えて写真展も開催している。新刊のほか古書も揃えす店内では、国内外のヴィンテージ写真集と共に、新気鋭作家の作品にも出会うことができる。

〒181-0001
東京都三鷹市井の頭4-21-5 #103
tel: 0422-26-9707
https://bookobscura.com/

2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。

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