今年も数多くの写真集が刊行されたが、印象に残ったものはあるだ
1. カトリーヌ・ロングリー『Hernie & Plume』
私たちの誰もが囚われていて、なかなか抜け出すことのできない既成概念や偏見。というと、深く、重たいテーマの写真集のように聞こえるが、美しい表紙を開いて現れる写真たちも、パーティというその舞台も、愛すべき被写体たちも、なんとも楽しく、魅力的なのだ。猛スピードで変わりゆくいまの時代の価値観の中で、普通って?愛って?歳をとることってどういうこと?と日々直面している悩ましい問題を、しみじみほっこりと考えさせてくれる。
タイトル | カトリーヌ・ロングリー『Hernie & Plume』 |
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出版社 | The Eriskay Connection |
価格 | 4,345円 |
発行年 | 2020年 |
仕様 | ソフトカバー/320×220mm/88ページ |
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2. テリ・ワイフェンバック『Cloud Physics』
自然風景をとらえてきたテリ・ワイフェンバックが、科学的なリサーチも取り入れながら、自然と向きあった新境地。私たちが毎日を過ごしている天気は、ささやかで無限の美の神秘に満ちている。それらは私たちがコントロールできない領域にあり、ときに脅威にもなる。同じ日は二度となく、すべてが小さな変化の積み重ねで成り立っていること、そしてその気づきを与えてくれる1冊。
タイトル | テリ・ワイフェンバック『Cloud Physics』 |
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価格 | 45ユーロ |
発行年 | 2021年 |
仕様 | ハードカバー/280×210mm /216ページ |
URL |
3. 加茂克也『KAMO HEAD』
2020年逝去したヘア&メイクアップアーティスト・加茂克也の作品集。シアトリカルで一目見たら忘れないその強いヘッドピースを再び体験したくなり、思わず手に取ってしまった。本書にはジュンヤ ワタナベやアンダーカバー、シャネル、アンリアレイジなどのランウェイショーを飾ったアートピース約220点を収録。モノクロームのページに彼の鮮やかなクリエイティヴィティが静かに輝いている。
タイトル | 加茂克也『KAMO HEAD』 |
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出版社 | KAMO HEAD |
価格 | 12,100円 |
発行年 | 2021年 |
仕様 | ハードカバー/305×308mm/296ページ |
URL |
4.北川浩司『Photography 写真』
フランスの新進気鋭の出版社Area Booksから刊行された本書は、北川浩司がここ15年にわたり自費出版してきた29冊のZINEをまとめ、752点の写真を収録する800ページの超大作。それぞれのZINEには、執拗なまでに同じような作業を繰り返した写真の実験が収録されており、それらが1冊にまとまった本書のタイトルが直球で潔い。A5サイズの本書は、ZINEならではのラフさも残したまま、美しいデザインに仕上がっている。
タイトル | 北川浩司『Photography 写真』 |
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出版社 | AREA BOOKS |
価格 | 45ユーロ+送料 |
発行年 | 2021年 |
仕様 | 150mm×210mm/800ページ/250部限定/表紙:青色・緑色の二種 |
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5. アレッサンドラ・サンギネッティ『THE ADVENTURES OF GUILLE AND BELINDA AND THE ENIGMATIC MEANING OF THEIR DREAMS』
アルゼンチンの田舎町に暮らすふたりのいとこが幼少期を経て大人の女性へと変わっていく日々を20年以上にわたり撮り続けたシリーズの、最初の5年間を記録した写真集。2010年に出版されたが、今年MACKから復刻したおかげでその物語に触れることができた。動物たちと生活していく中で感じる生と死や、時折静かに訪れる閉塞感。その日常の狭間で思い思いに遊ぶふたりの深い友情が、お互いの生きる希望のようで眩しい。ふたりの姿に自分の思い出を重ねながら、大人になるってどういうことなんだろうと思いを巡らせる1冊。
タイトル | アレッサンドラ・サンギネッティ『THE ADVENTURES OF GUILLE AND BELINDA AND THE ENIGMATIC MEANING OF THEIR DREAMS』 |
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出版社 | MACK |
価格 | 12,100円 |
発行年 | 2021年 |
仕様 | ハードカバー/280×280mm/120ページ |
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