文=新宿 北村写真機店
今回紹介する「Reid(リード)」はイギリスがライカを元に開発したカメラです。本家に勝るとも劣らない性能で、コピーライカですが人気を集めています。
第二次世界大戦末期、連合国はドイツの特許を没収し、一般に公開しました。イギリスは、戦時中に良質なカメラが不足していたことから、軍事的な理由でイギリスで製造されたライカに匹敵するカメラが必要だと考えました。ウェッツラーのライツ工場から設計図面を持ち出すほどでした。
このカメラを製造したのは、レスターにある航空機部品や精密機器のメーカー、リード・アンド・シギリスト社です。リードは1947年5月に発表されましたが、実際に発売されたのは1951年でした。1964年まで生産されましたが、リード・アンド・シギリスト社はカメラの生産を中止し、残りの部品はすべてA.W.ヤング社に売却され、彼らは既存の部品在庫から追加のカメラを組み立てました。
リードは2種類のモデルが発売されました。1台目はライカIIIシリーズのコピーであるリードIIIで、初期のものはフラッシュ同調機能を持たず、おそらく最初の200~300台がそうであったと思われます。フラッシュシンクロを搭載したモデルのうち、最初の100~200台はプラグがひとつしかありませんでした。リードIIIの総生産台数は、おそらく1,600台以下であったと思われます。
実際にリードIIIを手に取ってみると、どっしりとした重量感を感じます。また、手触りがとても良く、クロームメッキの質感も本家ライカにも劣らない上質な輝きを見せます。滑らかな巻き上げと小気味良いシャッターはライカ好きな方もきっと満足させるでしょう。
リードの2番目のモデル・リードIは、レンジファインダーと低速を省いた簡略版で、リードIIIのように前面にフラッシュシンクロがある以外はライカEをコピーしたものです。リードIは1958年に登場し、一般にも販売されると宣伝されていましたが、軍のマークがないものは見つかっていません。約500台しか製造されませんでした。
1959年に3番目のモデル・リードIIが発表されましたが、おそらく生産されることはありませんでした。リードIIは、低速シャッターのないリードIIIになる予定でした。現存するサンプルは、生産終了後に組み立てられたカメラの一例であると考えられており、おそらく低速装置の部品が不足していたためか、あるいはその複雑さのためであろうと推測されます。
製造されたリードの多くはイギリス軍に販売され、裏革に軍登録マークがエンボス加工されているほか、イギリス軍の象徴である「ブロードアロー」と呼ばれる太い短矢が描かれていることもあります。また、リードIのカメラには、トッププレートの前縁に番号が刻まれています。
リードとセットで販売されたレンズは、折りたたみ式鏡筒の2インチF2テイラー・ホブソンアナスティグマットのみでした。このテイラー・ホブソン製2インチF2アナスティグマットは柔らかくクールな描写で、現代のレンズとは違うなつかしくも新鮮な印象を受けます。
リードのカメラの多くは、シリアルナンバーの前に”P”が付いています。少なくとも一例として、製造番号A1001のプリプロダクションカメラがあり、上部のロゴは、通常の文字による「Reid」ではなく、楕円の中にブロック文字の「RS」が入っています。このカメラは、ライカIIIのように低速ダイヤルの内側にネジ頭が見えること、低速ダイヤルにロックがないことが量産機と異なります。
新宿 北村写真機店
世界一のカメラストアをコンセプトに2020年新宿にオープン。新品・中古カメラやグッズ、ギャラリーやセルフスタジオ、子供写真館が揃い、機材だけに留まらない豊かなフォトライフを提供している。
東京都新宿区新宿3-26-14
10:00~21:00
https://www.kitamuracamera.jp/ja