フェスは毎年テーマが設定され、それに合わせた作品が選出される、実は昨年のフェスのテーマは「日本」。、 植田正治、 土田ヒロミ、 新井卓、 西野壮平、 小原一真水谷吉法など、たくさん日本人写真家の作品が展示され、好評を博したそう。参加作家の顔ぶれを見てもわかる通り、巨匠から若手までかなりアート写真のコアな部分に触れたラインナップ。昨年写真集が話題になったり、賞を受賞したり、海外で大きな個展があったりと活躍している作家への目配りが利いている。先ほど「写真のプロが集う場というよりは」とはいったが、そのコンテンツは見応え十分。ある意味写真界のトレンドを反映しながらも、決して難解でとっつきにくいものにはなっていない、そのバランスが絶妙だ。
今年のテーマは、「アフリカ」。至るところに「I LOVE AFRICA」のサインや、アフリカのファブリックをデザインしたポスターやバナーが掲げられて、会場を盛り上げる。レセブション当日、町の駐車場で開催されたオープニングパーティでは、アフリカ風の仮装をしたパフォーマーが現れて、お祭り気分でフェスが開幕。
展示内容も見事。アフリカを代表する巨匠、セイドゥ・ケイタ、マリック・シディベ、ママ・カセットなどの名作が一堂に会して、空き池を利用し壁いっぱいに展示されている。アフリカのお家芸ともいうべきポートレート群の名作を、ずらりと並べて見られる貴重な機会だ。三者の作風を比較してみると、一口にアフリカといっても、人の容貌や服装、撮影の仕方などにも微妙な時代や国による違いが浮き彫りとなり、その多様性の豊かさにあらためて魅了される。
ほかにも、セルフポートレートで注目を集めている1980年セネガル生まれの旬の作家オマール・ヴィクトール・ヴィオップが大々的にフィーチャーされている。そのほか、モデルの全身にカラフルでグラフィカルなペインティングを施したファッション性も高く、アフリカ伝統文化へのオマージュでもあるアイダ・ムルネーなども参加。大きな箱型の展示の周辺を歩きながら、ほかにもアフリカ各国の貧困や暴力の氾濫、希少動物の乱獲などの問題をジャーナリスティックなアプローチでドキュメンタリー写真や、アフリカを探検した古写真などの展示や幅広くカバー。「写真」という切り口で、さまざまなジャンルから、新旧のアーティストが揃い、アフリカ写真史の過去と現在を俯瞰するようなフェスティバルになっている。
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