Stephen Shore

カラー写真の第一人者、スティーブン・ショアの大回顧展
600点近い写真で見せる60年の軌跡をレポート

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アメリカ

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Stephen Shore. West 3rd Street, Parkersburg, West Virginia, May 16, 1974. 1974. Chromogenic color print, 8 × 10 1/2″ (20.3 × 26.7 cm). © 2017 Stephen Shore, courtesy 303 Gallery

Stephen Shore. West 3rd Street, Parkersburg, West Virginia, May 16, 1974. 1974. Chromogenic color print, 8 × 10 1/2″ (20.3 × 26.7 cm).
© 2017 Stephen Shore, courtesy 303 Gallery

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ウィリアム・エグルストンと並んで、アメリカのカラー写真をアートにしたスティーブン・ショア(1947年〜)が、ゆかりのあるニューヨーク近代美術館(MoMA)で大回顧展「Stephen Shore」を開催中だ。「ある問題解決が済んだら次の問題に向かっていく」をモットーとするショア。その撮影哲学を反映した60年の活動記録を、ほぼ時系列に沿った12の展示室とコーナーで、存分に紹介する。

文=八巻由利子

1961〜67年:アンディ・ウォーホルとの出会い

まず目に入るのが、中央にぶら下がっているビデオ・プロジェクションに映し出されるテンポの速いモノクロ映像だ。1965年、この16ミリ作品「エレベーター」の上映会場でアンディ・ウォーホルと出会い、ファクトリーに通って撮影することになった。スクリーンの周囲にはそれ以前からのモノクロ作品のほか、昨年新たにプリントした当時のカラー作品も展示されている。珍しく縦位置の作品も含まれており、習作時代という印象も。とはいえ、14歳でMoMAの写真部長エドワード・スタイケンに写真を見せ、買ってもらっただけあって、既に完成度の高い作品が並んでいる。ニューヨークの街の風景を切り取った何点かは、ロバート・フランクを彷彿とさせる。ファクトリー内外で撮ったシリーズは、この展示室に飾られた作品の約3分の2を占めているが、ほかの作品と同様の扱いだ。ショアの人生の中で、ウォーホルとその仲間たちとの出会いは、十代における学びの場だったことが示されている。

Installation view of Stephen Shore. The Museum of Modern Art, New York, November 19, 2017–May 28, 2018. © 2017 The Museum of Modern Art. Photo: Robert Gerhardt

Stephen Shore. 1:35 a.m., in Chinatown Restaurant, New York, New York. 1965–67. Gelatin silver print, printed c. 1995. 9 × 13 1/2″ (22.9 × 34.3 cm). © 2017 Stephen Shore, courtesy 303 Gallery

Stephen Shore. New York, New York. 1964. Gelatin silver print, 9 1/8 × 13 1/2″ (23.2 × 34.3 cm). © 2017 Stephen Shore, courtesy 303 Gallery

1969〜70年:メトロポリタン美術館での初個展と「All the Meat You Can Eat」展

ショアの初期のキャリアの中でよく言及されるのは、若干23歳で開催したメトロポリタン美術館での個展だ。この展示室では、その時に展示されたモノクロによるコンセプチュアルな作品群を見せている。被写体、時間、そして場所を限定することで差異を連ねる組写真のスタイルは、当時アート界でよく見られた手法だ。ショアの場合は、ウォーホルのほかには特にエド・ルシェによる一連のアートブックから触発されたという。

Installation view of Stephen Shore. The Museum of Modern Art, New York, November 19, 2017–May 28, 2018. © 2017 The Museum of Modern Art. Photo: Robert Gerhardt

Installation view of Stephen Shore. The Museum of Modern Art, New York, November 19, 2017–May 28, 2018. © 2017 The Museum of Modern Art. Photo: Robert Gerhardt

続く展示室では、メトロポリタン美術館での個展と同年にキュレーションした、全く違うタイプの展示「All the Meat You Can Eat」を再現している。当時、既成のアートシーンに対抗するかのように出現した、先鋭的なアート地区ソーホーのロフト・ギャラリーで開催された。展覧会名に表れているように、二人の友人と共に集めた写真と、自身の写真が混ざり合っている。カラーもモノクロもリトグラフも一緒に、撮影時期も大きさも異なる家族写真、事故現場の写真、絵葉書、芸能人のプレス写真、ポルノグラフィーまでが並ぶ。日常にありふれたものを題材とするショアの視点が強く表れていると同時に、ファウンドフォトも利用する現代のアート写真表現の先駆者としての姿勢も感じることができる。

Installation view of Stephen Shore. The Museum of Modern Art, New York, November 19, 2017–May 28, 2018. © 2017 The Museum of Modern Art. Photo: Robert Gerhardt

Installation view of Stephen Shore. The Museum of Modern Art, New York, November 19, 2017–May 28, 2018. © 2017 The Museum of Modern Art. Photo: Robert Gerhardt

1972〜73年:初期の代表作「American Surfaces」

ショアの経歴における最初のハイライトといえる、アメリカ南西部へのロードトリップをローライ35によるスナップショットでとらえたシリーズ。ニューヨーク初の写真専門ギャラリー、ライト・ギャラリーでの、約12×8cmのプリントを壁に直接貼った展示方法を再現している。写真はすべて2017年にデジタルプリントされたものだ。いまなら現代アートのインスタレーションとしてはありふれた表現かもしれないが、当時は風景、人物、食べ物からトイレまでが均一の大きさのプリントに収められた219点が並んだ様は意表をつくものだったに違いない。

Installation view of Stephen Shore. The Museum of Modern Art, New York, November 19, 2017–May 28, 2018. © 2017 The Museum of Modern Art. Photo: Robert Gerhardt

Stephen Shore. Kanab, Utah, June 1972. 1972. Chromogenic color print, printed 2017, Chromogenic color print, 3 1/16 × 4 5/8″ (7.8 × 11.7 cm). © 2017 Stephen Shore, courtesy 303 Gallery

Stephen Shore. Amarillo, Texas, July 1972. 1972. Chromogenic color print, printed 2017, Chromogenic color print, 3 1/16 × 4 5/8″ (7.8 × 11.7 cm). © 2017 Stephen Shore, courtesy 303 Gallery

Stephen Shore. Washington, D.C., November 1972. 1972. Chromogenic color print, printed 2017, 3 1/16 × 4 5/8″ (7.8 × 11.7 cm). © 2017 Stephen Shore, courtesy 303 Gallery

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