モスクワ現代美術館のフォトビエンナーレにて5月18日(金)から、戦前日本の前衛写真運動を代表する写真家、中山岩太の個展「Modernism In Japanese Photography」が開催されている。ロシアでの中山の大規模な個展はこれが初めてだ。
同展はまた、2016年に日露の二国間関係の発展を目的として開催が決定した「ロシアにおける日本年」の一部でもある。
1895年に福岡県柳川市で生まれた中山は、東京美術学校(現・東京藝術大学)臨時写真科を卒業後、1918年渡米、カリフォルニア州立大学大学院を卒業。その後ニューヨークに移り住み「ラカン・スタジオ」を設立、商業写真家として活躍した。もともと芸術写真に興味があった彼はさらに、1926年に当時ヨーロッパの芸術運動の中心であったパリに拠点を移し、そこで藤田嗣治やマン・レイなどと交流を持ち始める。中山は特にパリで出会ったアーティストの一人、未来派の画家エンリコ・プランポリーニの幾何学的な構図に刺激を受けた。
1927年、32歳で日本に帰国。約10年間におよぶアメリカとフランスでの生活は中山の世界観に大きな影響をおよぼした。帰国後日本で制作された写真はフランスの前衛写真の模倣を超越したものであり、彼の新しく、ユニークな美的感覚が反映された作品であった。
戦前に海外の前衛写真運動を体験した稀有な日本人として、中山は表現運動「新興写真」をリードし日本近代写真史に一大変革を引き起こした。「Modernism In Japanese Photography」 は7月22日(日)まで行われている。
Iwata Nakayama, Japanese Girl, c. 1925, Gelatin silver print, Collection of the Iwata Nakayama Foundation, Courtesy of the Hyogo Prefectural Museum of Art
タイトル | 中山岩太「Modernism In Japanese Photography」 |
---|---|
会期 | 2018年5月18日(金)~7月22日(日) |
会場 | モスクワ現代美術館(ロシア) |
URL | http://www.mamm-mdf.ru/en/exhibitions/modernism-in-japanese-photography/ |
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。