水原希子が愛する写真家(前編)

“本当の私を撮ってくれるのは茂木モニカだけ”

16 December 2020

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水原希子が愛する写真家(前編)“本当の私を撮ってくれるのは茂木モニカだけ” | 水原希子

モデル、女優として国内外で活躍する水原希子。煌びやかな衣装とヴィヴィッドなメイクで広告や雑誌カバーを飾り、多くの人を魅了している。撮られるプロである彼女は、写真を愛する一人のクリエイターでもある。ギィ・ブルダンやラリー・クラークを所持する彼女のコレクションから今回選んでくれたのは、若手写真家・茂木モニカによる写真を用いた月型のアートピース。友人でもある茂木は水原にとって欠かせない写真家という。世界のトップフォトグラファーたちとコラボレーションしてきた水原が、茂木に撮って欲しい理由とは? そのほかにも、話は大御所との仕事から自身の表現欲へまで及んだ。美しく、アートな水原希子の素顔を、前後編でお届けする。

取材・文=IMA
撮影=織作麻衣

―今回「お気に入り」としてお持ちいただいた作品が、通常の額装されたプリントではなくてびっくりしました。作品について教えてください。

友人でもあるフォトグラファー、茂木モニカさんの月とカラーをモチーフにした1点もののプロダクトです。2018年末に渋谷・桜丘にある解体前の古いビルで催されたアートフェア「ARIGATO SAKURAGAOKA」にモニカが出展していました。そこに出ていた作品です。

彼女は月が好きで、月モチーフの作品をよくつくっているのですが、ARIGATO SAKURAGAOKAでは、満月や欠けた月、色も青や赤などいろいろな作品がありました。これはブルーがテーマの物ですね。

気に入って、欲しい欲しいといっていたら1個いただけたんです。それ以来、いつも部屋に飾っています。

―一瞥すると1枚のコンタクトシートを月型にしたように見えますが、よく見ると、色んなポジフィルムを混在させているんですね。

過去からの写真をまぜこぜに、モニカが撮ったブルー系の写真がセレクトされています。背景が青かったり衣装が青かったり。これらを1本のフィルムのように見えるように切り貼りしているんです。頑張ったと思います、モニカ(笑)。

水原さんやChim↑Pomのほか、茂木モニカ自身もが写っている青色にまつわるカットが並ぶ。月型のライトボックスには電球が内蔵されており、光る。

インテリアとしても素敵な作品。


―仕事でも茂木さんに撮られることが多いですよね?

数えきれないくらい撮影をご一緒してきました。彼女の写真の何が好きかって、映画のような写真を撮るんです。フィルムはトレンドでもあって、作品制作に使っている女の子の写真家はたくさんいます。でもモニカが他の人と決定的に違うのは、静止画なのに動きがあるという点。そこに物語を感じるというか……。

モデルとしてファッションフォトについては悩みがあるんですけど、ポーズを決めて、止まった瞬間をカシャっていうのはムードが死んでしまう印象があって。でもモニカの写真は静止画でも動きを感じさせてくれるんです。

ファッション系の撮影はプロモーションですから、服をよく見せなければいけなかったり、色々な縛りがあって葛藤があります。でも彼女はこだわって物語をつくり、自分らしさを失わずに頑張って撮ってくれる。

本当にいままで、たくさん自分の大切な瞬間を撮ってもらってきました。3~4年くらい前に私にとって節目となる3カ月のロサンゼルス留学期間がありました。アメリカのエージェントと契約したんですが、当時ファッション業界でグローバル化が進んで、アジア人がより求められるようになった時期で。でも私としては、私自身がどんな人間かを見てもらいたいのに、アジア人というくくりとして見られるのにちょっと違和感があって、もやもやしていました。

そんなとき、モニカがやって来て、旅に出たんです。友だち4人でロサンゼルスをドライブする旅へ。衣装を揃えて、撮影する前提で行きました。ヘアメイクは自分たちです。その時マンモスマウンテンの頂上の方まで2、3日掛けて行きました。雪山なので、雪中で撮ったり、雄大な自然と一体化したような写真を撮りました。

水原希子


―友達とのロードトリップを大自然の中で撮影したというと、ライアン・マッギンレーを想起させます。

確かに大自然やロードトリップというとライアンのイメージはあるかもしれないけど、仕上がった写真からは全く違う雰囲気を感じました。写っているんです、被写体と撮り手の関係性が。私の顔が凄く穏やかに写っていたんです。自分の写真を見るととてもその時のエモーションがわかります。結構それが面白いんです。

このときの写真を以前日本の『プレイボーイ』誌に載せてもらいました。まだ出していない写真もたくさんあります。どれも素晴らしいものです。モニカは才能あるフォトグラファーなんですけど、私にとってはそれだけじゃない。彼女にしか見せられない顔があるんです。そういう部分を撮ってくれる人がいるということ自体が嬉しい。被写体としての自分じゃなくて、ありのままの自分を、親密な距離感で撮ってくれる人なんて彼女くらいしかいないんですよね。

以前相性が合わないフォトグラファーがいたんですが、私はかっこいい写真を撮りたいと思って臨むんですがネガティブなことばかりいいながら撮るので、自分が毒されて行く感じがしてしまいました。その人のエネルギーが伝染するというか、でも、あえてそれを受け入れて毒されていくとどうなるのかを実験したんです。そしたらものすごいブスに写っていたんです(笑)。

それが発見で、やっぱり撮影者との関係性って写るんだなと思いました。だからたくさん素敵な人たちとお仕事してきましたけど、モニカはもっとも自分の素の部分を引き出して撮ってくれる人だと実感しています。

水原希子


―本当の水原希子を見たいなら、モニカの写真を見てと?

そうですね、派手なメイクでキメキメのファッションシュートをしたとしても、モニカが撮ると私の雰囲気が違います。また日常の写真でも、非日常の“作品”になる。

写真集を作るから仕事で撮影旅行に行く!となると、はい、これはこなしたー、次これー、メイクチェンジ!とかスケジュール組んで撮ることで、予定調和になるじゃないですか。でもそれは作品として違う。

モデルは商品をプロモーションする、魅力的に見せるというマネキンのような仕事かもしれません。でも極力それだけには終わらないようにしたい。そこが本当に難しいんですが、モニカとの撮影はマネキンを超えられるんです。

水原希子|Kiko Mizuhara
1990年生まれ。モデル、女優として世界で活躍。2003年よりモデル活動スタート。2010年『ノルウェイの森』で映画デビュー。ファッション誌やファッションショーのモデル、コーチやディオール ビューティーなどグローバルブランドのアンバサダー、国内では資生堂、パナソニックビューティー、サントリーなどのアイコンを務める。2021年映画『あの子は貴族』が公開される。