本展は、安藤自らが撮り下ろした安藤建築の写真に加え、安藤建築を生みだすに至った設計図面、ドローイングや模型による複合的な展示構成となっております。
安藤は、徹底的にアカデミズムを拒み、自らの足で歩き、自らの目で世界の建築を見て、そして自らの肉体に世界中の建築の記憶を刻み付け続けることで頂点に立った建築家です。安藤の建築には、旅を通して体得した西洋の神殿や古典建築、インドの迷宮めいた大地の遺跡、あるいは日本伝統の緻密な木造建築…といったありとあらゆる土地、文明、人々の生活、そして建築の記憶が呼応しています。だからこそ、この度展示の設計資料や建築写真は、特定の建築作品の表層的な断片にとどまらず、安藤のコンセプトの原型であると同時に、人類による造形の原型でもあるのです。
『ANDO BOX III』
日本国外にある安藤建築を本人自らが撮影した写真を、アマナサルトのプラチナプリントで制作しまとめたポートフォリオ集です。
「それぞれの場所には、必ずそこにしかない個性がある。それを注意深く読み取り、新たな建築によって顕在化する。一口に場所の個性といっても、その内容は、土地の歴史や形状、植生から、その中にある既存の構築物、そこから見える風景などさまざまだ。また、それを建築化する方法も、人工と自然の調和を目指すものであったり、逆にその対比を強調するものであったりと、道は一つではない。だが、いずれの仕事も目指すところは同じく『その場所にしかできない建築』への挑戦だ。」―安藤忠雄『ANDO BOX III』2017
『ANDO BOX IV』
安藤が自身にとって特別な意味を持つと語るプロジェクト『アーバン・エッグ』と『光の教会』に焦点を当て、アマナサルトの持つ最先端の技術と職人の技によって、前者は巨大なアーカイバル・ピグメント・プリント、後者はサイアノタイプで制作されました。そして本作品には、この二つの延長線上にあるプロジェクト『プンタ・デラ・ドガーナ』と『ブルス・ドゥ・コメルス』の手書きドローイング、そして安藤自身のディレクションによる『アーバン・エッグ』の模型も含まれています。
「『アーバン・エッグ』と『光の教会』。前者は自主提案の計画で、後者はありふれた住宅地に建つ30坪余りの教会である。同時期にあったという以外、背景も状況も、何もかも異なる。が、ただ一点、自身の想像力の限界に挑戦し得たという点において、ふたつのプロジェクトは特別な意味を持った。今日に至る、自身の建築の新たな基点となったといってもいいだろう。実際、2009年にヴェニスで完成させた再生プロジェクト『プンタ・デラ・ドガーナ』、同じクライアントと共に、現在、パリ中心部で進めている、やはり再生プロジェクトである『ブルス・ドゥ・コメルス』などは、いずれもが1980年代末に見つけた“卵”と“光”の延長線上にあるものだ。」―安藤忠雄『ANDO BOX IV』2018
タイトル | 「安藤忠雄展 Special Viewing for ANDO BOX III & ANDO BOX IV」 |
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会期 | 2018年5月14日(月)~6月23日(土) |
会場 | IMA gallery(東京都) |
時間 | 11:00~19:00 |
休廊日 | 日曜・祝祭日 |
観覧料 | 無料 |