写真家たちをめぐる環境は、日々更新されている。AIをはじめとする技術革新、表現手段の多様な進化、曖昧になっていく写真と現代アートの境界……創造の場の拡張は止まるところを知らない。多くの写真家が、ドキュメンタリー、ポートレート、ファインアートなどのジャンルの融合や分離を繰り返しながら、新しいビジュアル・ナラティブを創出している。こうした変化の中で、若手写真家たちは独自の視点と手法で新しい価値観を切り拓き、写真表現の可能性を再定義していく。
今号では、固定概念すらものともせず、まだ誰も見たことのない写真の未踏の領域を開拓していく気鋭の17名を厳選。それぞれの方法で表現と真摯に向き合う若手の眼差しに、写真の新たな可能性を探る。
PRICE:3,300円(税込)
Contents
Unexplored Territories of Photography
写真、未踏の領域へ
Sander Coers サンデル・クース
文=若山満大
Henriette Sabroe Ebbesen ヘンリエット・サブロー・エベセン
文=小林美香
Lebohang Kganye レボハン・ハンイェ
文=マリーゴールド・ウォーナー
Alice Poyzer アリス・ポイザー
文=IMA編集部
Andrea Orejarena & Caleb Stein アンドレア・オレハレナ&ケイレブ・スタイン
文=佐久間裕美子
Hyungjo Moon ムン・ヒョンジョ
文=中島晴矢
Next Evolving Visions
変容する眼差しのゆくえ
Zahra Babaei ザーラ・ババエイ
Cristóbal Ascencio クリストバル・アセンシオ
Yuxing Chen ユシン・チェン
Jaya Pelupessy ジャヤ・ペルペッシ
Sara Benabdallah サラ・ベナブダラー
Hi n Hoàng ヒアン・ホアン
Teresa Freitas テレサ・フレイタス
Mari Matsubara 松原茉莉
Heather Agyepong ヘザー・アギェポン
Kenneth Lam ケネス・ラム
Stephanie O’Connor ステファニー・オコナー
文=IMA編集部
フェミニンな絵創りで示すフェミニズム ケニオン姉妹
文=八巻由利子
高速ストロボの生みの親 エジャートン博士の革新の旅
文=阿久根佐和子
THE COLLECTIVE EFFECT
写真家集団が生み出す化学反応
東京と向き合うコレクティブ集団 TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH
「装置」としての写真表現を追いかける GC magazine
コピー機で遊び心を表現するTHE COPY TRAVELERS
文=IMA 編集部
R.I.P EIKO HOSOE|[追悼]細江英公
細江英公:世界をつなぐ架け橋
文=マーク・フューステル
『おとこと女』̶写真集というメディアの威力
文=須々田美和
Selected Articles
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写真、未踏の領域へ
世界のさまざまな土地で育まれた異なる視点を持つ若き写真家たち。それぞれが持つアイデンティティやジェンダー、政治や歴史といった複雑な主題と向き合いながら、独自の視点と手法で、固定概念を覆しながら写真の新境地を開拓している。特集ではサンデル・クース、ヘンリエット・サブロー・エベセン、レボハン・ハンイェら、2025年のいま注目すべき気鋭の17名の作家を紹介する。
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フェミニンな絵創りで示すフェミニズム ケニオン姉妹
一卵性双子で、アーティストとしてもユニットを組んで活動をしたケニオン姉妹。彼女たちは、写真に版画やコラージュなどの要素を織り交ぜたフェミニンな絵創りでフェミニズムを表現した。現代アートにおける写真をベースとした作品として、再評価の兆しが高まる二人の作品と人生に迫る。
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写真家集団が生み出す化学反応
現代において、写真家たちが“集団”で活動する意義とは何か。
異なる世代と方法論による3つのコレクティブは、 写真というメディアを通じて社会や歴史、日常と向き合いながら、 異なる視点を交差させる。単なる共同制作を超えた挑戦からは、 新たな写真表現が立ち上がる。彼らは今なぜ「ともに」在るのか。 その背景と意味を探る。 -
見えないものを見るために。エジャートン博士の革新の旅。
今では一般的なものとして世界中の人々が使う、高速で連続して作動するマルチストロボ。試行錯誤の末にその機構を編み出した人物こそ、ハロルド・E・エジャートンだ。写真史に欠かすことのできない技術者にして、人々の記憶に焼きつく数々の瞬間を写真に収めた。速すぎて、暗すぎて見えなかったものたちを見ることに挑み続け、生涯現役を貫いた“パパ・フラッシュ”の人生をたどる。