20世紀、社会が豊かになるにつれ、私たちはあふれんばかりのモノに囲まれ、消費社会を謳歌してきた。電話、時計、テレビ、カメラ、CDプレーヤー、パソコン、電話帳、計算機、懐中電灯……私たちの生活を彩ってきたモノたちは、この10年でみるみる手のひらにおさまる小さなタブレットと呼ばれるものの中に吸い込まれ、フラットな画面の中に収まってしまった。もはやデパートだって、銀行だって、この中に入っているのだ。
そんな時代の反動だろうか? 写真の世界に目を移すと、これまで印画紙に焼き付けられてきた写真たちは、むしろ形を伴ってリアルな世界に飛び出そうとしているようだ。写真は平面と立体を、二次元と三次元を行き来しながら、どこまで拡張するのだろうか? 進化するのだろうか?実験的な写真家たちの目指す意欲的な表現には、現代においてイメージが果たす役割のヒントが潜んでいる。
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Contents
特集:立体化する写真
アヌーク・クルイトフ/インタヴュー
「Transposition」 マーク・ドルフ 文=セリア・グラハム-ディクソン
Spew 文=深川雅文
加納俊輔/インタヴュー
「POST BODY / NATURE」 小山泰介+川島崇志/インタヴュー
藤原聡志/インタヴュー
平面を越えた写真を展開する新鋭たちをピックアップ
写真インスタレーションは、もっと面白くなる
MoMAが提示する「New Photography」展の行方 文=海原力
PUGMENT 文=林央子
STEP OUT! vol. 19 山田梨詠
岡上淑子 文=若山満大
映画と写真の関係性
映画監督が撮る写真 ヴィム・ヴェンダース/デヴィッド・リンチ/
ガス・ヴァン・サント/アピチャッポン・ウィーラセタクン 文=立田敦子
映画監督の視点を探るための一冊
写真家/ 映画監督のまなざし 文=松井宏
連載
TOKYO and ME vol.5 フィリップ・フラニエール
Catch Up 世界の写真ニュース
People シーンを拓くキーパーソン フランソワ・シュバル
Report 写真で存在感をアピールする連州
ホンマタカシ「Talking Photography」 vol.7 山峰潤也
How They Are Made 新しい写真が生まれる現場 vol.11 トーマス・マイランダー
Selected Articles
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写真インスタレーションは、もっと面白くなる
彫刻的な写真作品、オブジェや資料など写真以外のメディアとの組み合わせ、最新テクノロジーを使ったヴァーチャルワールドと共存させる仕組みなど立体化する写真の潮流を体現するインスタレーションを、写真のスペシャリスト8名が選んだ。
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MoMAが提示する「New Photography」展の行方
1985年からスタートした「New Photography」展は、2009年からはより積極的に、よりグローバルに、拡張する写真表現を紹介している。MoMA写真部門の始まりから、最新の「New Photography」展に至るまでを通して写真表現の変遷を探る。
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岡上淑子
幻のコラージュ作家・岡上淑子。この異名には理由がある。1950年初頭、岡上はシュルレアリスムの牽引者・瀧口修造に見出され、優れたコラージュ作品を数多く制作・発表した。しかし、その営みは突如として中断され、以後長いあいだ人々に顧みられることはなかった。いま再び注目を集める岡上淑子の作品を紹介。
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映画と写真の関係性
動画と静止画。そこに含まれる時間も異なり、決定的な違いのあるメディアでありながら、映画監督がカメラを手に写真を撮り、また逆に写真家たちも映画を撮ってきた。ここではその両方の例を紹介しながら、映画と写真における相互作用に迫る。
Contributors
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。