光と陰が競演するイズマイル・バリーの儚さを
銀座メゾンエルメスで感じて

25 October 2019

AREA

東京都

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© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès

© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès

KYOTOGRAPHIE 2019に出展していた現代美術家イズマイル・バリー。彼の写真や映像作品には儚さが漂う。そんなバリーの作品を日本で見られる機会が再びスタート。10月18日(金)より銀座メゾンエルメス8階フォーラムで、「みえないかかわり」イズマイル・バリー展が開催中だ。

今回は、エルメス財団のギャラリーの一つ、ブリュッセルの「ラ・ヴェリエール」のギヨーム・デサンジュをゲスト・キュレーターに迎えた。デサンジュはこの展示について、「光はものを見ることを可能にするが、しばしばコントロールできなくなり脅威でもある。バリーは光と遊ぶことを選んだ。彼の作品は、偶然と意図の間に作品の面白さがある」と話す。

展示風景。壁で仕切った部屋を配置し、光をコントロールした作品を展示する。

展示風景。壁で仕切った部屋を配置し、光をコントロールした作品を展示する。

バリーの作品に共通するのは、イメージの出現と消滅。創作途中の偶然や光の変化を細やかにとらえた映像やドローイング作品は、静かでもの悲し気な印象を湛える。

特長が分かりやすい作品は、映像作品『転回』だ。雑誌のページが揉みしだかれてゆくことでインクが手に移り、ページの印刷が少しずつ消えていく様子を映したもの。イメージが現れ消えるさまが良くわかる。更にくしゃくしゃになり羊皮紙のようになったその雑誌ページは逆光を浴びて、会場内の壁に展示されている。別の物質へ変容したかのような雑誌ページは抜け殻のようだ。

光を扱った作品では、壁面にピンが連綿と打たれた『幽かな線』が刹那の美を見せる。照明によりもたらされたピンの影が連なり、一本の線を描く作品。元は自然光でつくられた作品で、つまり1日の短い時間しか線をなさないという。今展では照明が当てられ、恒常的に線を保持するが、光から遠ざかった部分では線があいまいになっていく。

ピンの影がつながり線となる『幽かな線』。© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès

手で遮った部分が可視化される映像作品『出現』。© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès

また、『出現』は一葉の写真を光にあてながら撮影した映像作品。強い光により、撮られた内容が分からないが、光を指で遮ることで絵が見える。垣間見えるシーンはチュニジア独立の日という。同国出身のバリーにとって深い意味を持つ日だ。それが見え隠れするのは、いまも政治情勢が安定していないチュニジアを表現しているのだろうのか。

見えないこと、消えることは人間にとって不安の対象だが、バリーはそこにクリエイティヴィティを見出し、美を創り出す。どこか仏教の諸行無常観と通ずる作品群だ。

タイトル

「みえないかかわり」イズマイル・バリー展

会期

2019年10月18日(金)~2020年1月13日(月)

会場

銀座メゾンエルメス フォーラム(東京都)

時間

11:00~20:00(日曜は19:00まで/12月12日~25日は16:30まで/年末年始は変更あり/入場は閉館30分前まで)

URL

https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/forum/191018/