長島有里枝の個展「B&W」が、MAHO KUBOTA GALLERYで11月21日(土)まで開催中。
本展では、長島が祖母から引き継いだ大量の押し花を印画紙の上に並べ制作した 8×10インチのネガを用いたフォトグラム作品と、木板に写真用感光剤を塗布してプリントした風景の作品を展示する。前者は群馬県立近代美術館、後者は横浜市民ギャラリーあざみ野でそれぞれ発表された作品だが、どちらも長島自身が暗室の中でプリントしたモノクロの写真作品。今回はこれらを構成し直し、新たなインスタレーションとして発表する。
長島にとって暗室でのプリント作業は、「暗闇の中で自分が切り取ったイメージと再会し、対話する場所のようなもの」と述べている。そのような空間で実際に身体を使い、視覚に頼らず作りあげていく作業は、「単なるイメージだと思われているものを世界に存在する物質に置き換える」行為だという。誰もが日常的に高精度のカメラを携帯電話として持ち歩き、大量の写真を撮り、膨大な数の画像を目にする。そのようなプロセスを経ていくと、写真は物質的な成り立ちから切り離されて、単なる視覚情報となり、重みが消えていく。今年のパンデミックで互いの身体的距離が遠くなったいま、より一層重力のないデジタルイメージが漂流し続け、その渦の真ん中には得体の知れない大きな空洞がぽっかりと開いているようにも感じられる。記憶と結びついた象徴性を暗示しながら、鑑賞者との間にレイヤーを隔てて構成される本展。長島が考える物質としての写真の在り方を、ぜひ会場で体感して欲しい。
タイトル | 「B&W」 |
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会期 | 2020年10月16日(金)~11月21日(土) |
会場 | MAHO KUBOTA GALLERY(東京都) |
時間 | 12:00~19:00(最終⼊館は閉館時間の30分前まで) |
休館日 | 日月曜・祝日 |
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