リリー・シュウ新作個展「i was real」自身の写真によるデジタル・コラージュ作品と映像作品を発表

中国出身のアーティスト、リリー・シュウ新作個展「i was real」展が、11月3日（火・祝）からKanzan galleryで開催される。

不可視なものの波動と響きによって作られる空間、身体的行為や動きとなる以前の状態に含まれる身体性とその志向性について関心を抱いて作品を発表してきたリリーは本展において、自身の写真によるデジタル・コラージュ作品と映像作品を発表。写真表現に特有な具象性と作家の主観による抽象が溶け合っていく中で、機械的な操作によって捕らえられた色彩と形が、人間的なものと非人間的なものの間を揺らぎ、見て感じ、見て想像することの現在と可能性を問いかける。広告的で速報的な現代メディアの視覚伝達のあり方に抵抗して、静観する姿勢を促すかのような静謐な風景が構築され、ある種生きて呼吸しているような地形が出現している。

リリーの作品は常にドライであり同時に人間味に溢れている。一個人の精神空間が社会的な言説空間と重なり合うことで、広がりをもって表現されている。人間と人間、人間と世界との隔たりが顕著なものになり、有機質なものと無機質なものとの境界が曖昧になっていく、ポストコロナ時代に対する省察もここから感じ取れるだろう。