尾仲浩二個展「Faraway Boat」が、11月7日(土)まで目黒・POETIC SCAPEで開催中。
『slow boat』(2003)、『twin boat』(2013)、そして今作の『Faraway Boat』と、尾仲は80年代から90年代末に撮影したモノクローム作品をまとめた写真集に「boat」という言葉を用いている。時間の経過とともに人間の記憶は薄れていく。そして一般的に写真は、この失われていく記憶を留めおくために撮るものともいえる。しかし尾仲にとっての写真は、この忘却のプロセスに抗うためのものではないようだ。
古い写真と言ってしまえばそれまでだが、僕にはなんとなく分かっていた。いつどこで撮ったのかはそれほど大切なことではないし、なぜ撮ったかなどどうでもいいことなのだ。-『Faraway Boat』あとがきより
岸に立ち見つめる船影が、水平線のかなたにゆっくりと消えていくように、撮影から20年以上のときを経て、撮影時のさまざまな記録や気持ちが遠のき、最後に写真だけが残る。尾仲は自分が撮った写真が、自分から離れていくこの瞬間を、ずっと待っていたのかもしれない。
時の流れの中を漂う船、それが写真だと思う。-尾仲浩二
タイトル | 「Faraway Boat」 |
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会期 | 2020年9月30日(水)~11月7日(土) |
会場 | POETIC SCAPE(東京都) |
時間 | 13:00~19:00(土曜は11:00~19:00、要予約) |
休館日 | 日~火曜 |
URL |
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。