写真家・宇田川直寛の個展「庭の気がかり」が、1月10日(月)までSprout Curationにて開催中。
本展で展示される「庭の気がかり」は、宇田川の過去作「後ろ歩き問題」と「庭いている物」のシリーズに共通する「庭」を糸口にした、写真を巡る作品である。風景写真と静物写真がテーマのふたつのシリーズを結びつけた本作をもって、「後ろ歩き問題」と「庭いている物」のシリーズをひと段落させるという。
宇田川は、若い頃から影響を受け続けている哲学者・ヴィトゲンシュタインなどの問いを「なぞなぞ」として抽出し、それに対し「正しく間違える」という応答を何度も繰り返すことで、そこから発生するエントロピーを作品として提示してきた。「後ろ歩き問題」というシリーズは、ロジェ・カイヨワの『遊びと人間』の訳者解説にある「過去を予見するしかない」というフレーズに引っかかったことがきっかけとなった。その延長上である本展は、カフカの『家父の気がかり』を受け「庭の気がかり」と称されたという。純粋な風景写真は如何にして可能か? 風景写真に不可避に出現する対象を消し去り、背景だけを純粋に成立させること、また純粋な静物を背景から切り離すことは可能か?――家族と過ごす庭でのひとときを経て、新しい家族が生まれ、そうしてまた新しい「なぞなぞ」も生まれていく。永遠に繰り返される「なぞなぞ」の応答は、宇田川にとって絶え間なく続く写真との対話である。作家の深遠な思考に触れる機会をどうぞお見逃しなく。
タイトル | 「庭の気がかり」 |
---|---|
会場 | Sprout Curation(東京都) |
会期 | 2021年11月20日(土)〜2022年1月10日(日) |
時間 | 13:00〜19:00(日曜は〜17:00) |
休館日 | 月曜〜水曜 |
URL |