李河「Thing Itself」展が、1月29日(日)までTOTEM POLE PHOTO GALLERYにて開催中。
写真を始めた当初、私は写真に対して、こだわりがあった。それは、ちょうど良い光と色彩を捉え、入念にカメラを構えて、シャッターを押すことだった。フィックスされたフレームから、変化しようとする内の形も大切にした。じっくりと感情を込めて撮影すれば、写真を通して自分の内面が現れる。一枚一枚の写真を見ることは、自分の内心を直視するようなことだ。
最近の写真作品では、私は事物が指し示す意味と事物そのものを断ち切ることを試みている。客観なもののあらわしと、主観の介入とを2本の糸にして撚りあわせて、1本の糸にする。撮る行為と見る行為で、物の意味の変化が必ず起きる。意味の変化によって現実が解体、再編成され、隠された連結が明らかになり、ついに現実の世界から見放され、世界は純粋なイメージになった。それが無限に集合すると、リアルが露呈される。リアルは、つねにカオスで、写真を撮ることでリアリティがその本性に戻り、糸と糸が絡み合い、目の前にある事象は、言説にしきれない。
なぜ、こう思ったんだろう。写真を勉強していて、目で見たものと感じたものの違いがあるということは、明確に覚えるようになった。あと、一般的に写真というと、ファッション写真だの、ドキュメンタリー写真だの、何か外部に存在するものに依存して成立する。でも、私が探りたいのは、写真の写真で、写真だけで成立する表現だ。現実世界のなかの事物は、「意味」というものに隠され、「リアル」が見えにくくなった。写真を撮る行為は、「リアル」の輪郭を定める行為で、考察を進める。
写真は、なるべく透明な媒体であればいいのだ。ー李河
タイトル | 「Thing Itself」 |
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会期 | 2023年1月24日(火)~1月29日(日) |
会場 | |
時間 | 12:00~19:00 |
休廊日 | 月曜 |
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