オサム・ジェームス・中川作品展 「Witness Trees」が7月1日(土)までPGIにて開催中。
1962年、米国ニューヨーク市生まれ、アメリカを拠点とする写真家であるオサム・ジェームス・中川は、日本とアメリカの2カ国にまたがる自身のアイデンティティをもとに作品を制作している。
先の見えないパンデミック、そしてブラック・ライブズ・マターのデモや暴動が起こったことで、中川は1970年代にアメリカに移住した当時と同じような人種差別を肌で感じる日々を過ごしていた。特に、トランプ前米大統領がコロナウィルスに関して発言した「中国ウィルス」という言葉の影響で、自身が生活する地域でも、アジア人に対する差別感情による犯罪が起こったことをきっかけに、「日系」について改めて思いを巡らせることになったという。そして、戦前にアメリカへと移住した日本人家族と、中川のように高度成長期にアメリカに移り住んだ日本人家族では、根ざしている記憶にはっきりとした違いがあるのではないかと考え始めた。
2022年初頭に制作が始まった〈Witness Trees〉は、アメリカ各地に残る日系アメリカ人強制収容所を回る旅である。中川は2022年2月中旬から10月にかけて11の州、19の施設を訪れ、それぞれの場所で出会った木のポートレイトを撮影した。アメリカにある言葉で、歴史的に重要な出来事や時代を目撃し、いまもそこに立っている木を指す「Witness Tree」のように、静かに佇む木の姿を通して、日本からの移民たち思いや、いまも続く人種差別を考える。本作は過去を可視化させ、現在の社会に対しその在り方を問うきっかけとなるだろう。
タイトル | 「Witness Trees」 |
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会期 | 2023年5月17日(水)〜7月1日(土) |
会場 | PGI(東京都) |
時間 | 11:00~18:00 |
休館日 | 日曜・祝日 |
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