
東京・神宮前のLAG(LIVE ART GALLERY)で、飯沼珠実による展覧会「Salut, Mr Bruno Taut」が6月5日から開催される。あわせて、同名写真集『Salut, Mr Bruno Taut』(5500円)も刊行される。
飯沼はこれまで、「建築の建築」をテーマに、建築物を単なる構造物ではなく、人々の記憶や生活の痕跡が蓄積する存在として捉えながら制作を続けてきた。本展では、ドイツの建築家ブルーノ・タウトが1920〜30年代に手がけた「ジードルング(集合住宅)」を題材に、2010年から2014年にかけてベルリンおよびマクデブルクで撮影した作品群を発表する。
2008年にベルリンへ移住した飯沼は、市内周縁部に点在する集合住宅を訪ね歩き、長い時間をかけて撮影を続けた。画面に写し出されるのは、近代建築の機能美そのものではなく、そこに暮らす人々によって塗り替えられた壁面、窓辺の気配、樹木の影、駐車された車など、建築に折り重なる“生活の時間”である。モダニズム建築を歴史的モニュメントとしてではなく、現在進行形の日常の場として見つめる視線が本作には通底している。
また本シリーズでは、制作過程そのものも重要な要素となっている。初期には中判カメラ「Mamiya RZ67」を使用していたが、ベルリンの厳しい寒さによるフィルムトラブルなどを経て、次第にデジタル撮影へと移行。その技術的変化もまた、作品に流れる時間の層として写し込まれている。
さらに本展には、日本文化に深い関心を寄せ、日本へ亡命した経験を持つブルーノ・タウトと、東京からベルリンへ渡った飯沼自身の視線が重ねられている。異なる時代と土地を往還するまなざしが、建築と都市風景に新たな奥行きを与えている点も興味深い。
会期中には、美術史研究者の久後香純(6月6日14時)、大島成己(6月18日19時)をゲストに迎えたトークイベントも開催予定。各定員30名、500円。
| タイトル | 飯沼珠実 “Salut, Mr Bruno Taut” |
|---|---|
| 場所 | LAG(LIVE ART GALLERY)(東京都渋谷区神宮前2-4-11 Daiwa 神宮前ビル 1F) |
| 会期 | 6月5日(金)~27日(土) |
| 時間 | 13:00~19:00 |
| 休み | 日・月曜日、祝日 |
| 料金 | 無料 |
| URL | https://www.live-art-books.jp/lag/exhibition/tamamiiinuma/ |
