写真家・久井唯花の作品展「QUALIA」が、2026年9月4日から17日まで、東京・銀座のソニーイメージングギャリーで開催されている。色感覚を伴う共感覚の経験を背景に、視覚と非視覚的な感覚が結びついた記憶を写真によって記録してきた久井。2025年に刊行した同名写真集にもつながる作品世界を紹介する。
久井が制作の主題としているのは、人それぞれに異なる「知覚」のあり方だ。大阪芸術大学大学院で写真を学び、自身の共感覚の経験を起点に、目に見えるものだけでは捉えきれない感覚や記憶を写真へと置き換えてきた。2025年には、10年にわたって撮影した記録を写真集『QUALIA』としてまとめている。
タイトルの「QUALIA(クオリア)」は、あるものを見たり、聞いたり、感じたりした際に生じる、個人に固有の感覚的な質を指す言葉。本展に寄せたステートメントで久井は、「わたしの祈りは叶わないまま輝いている」と記している。過ぎ去った時間や、他者とは共有することのできない感覚。それらがどのようなかたちで写真として定着したとしても、その「輝きは、失われることはない」と語る。
展示作品にも、そうした知覚の揺らぎを思わせる像が現れる。資料に掲載された作品では、光に溶け込むような人物や水面、魚、海へ伸ばされた手などが、鮮明な記録というよりも記憶の中の光景のように写し出されている。色彩のにじみやブレ、強い光によって被写体の輪郭が曖昧になり、見る者自身の感覚や記憶を呼び起こしていく。
写真は世界を客観的に記録する装置である一方、撮影者が何をどのように「見た」のかを残す、極めて主観的なメディアでもある。「QUALIA」はその性質を手がかりに、同じものを見ても同じようには感じることのできない、人間の知覚の個別性へと目を向ける展覧会だ。
| タイトル | 久井唯花 作品展「QUALIA」 |
|---|---|
| 場所 | ソニーイメージングギャラリー(東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階) |
| 会期 | 2026年9月4日(金)〜17日(木) |
| 時間 | 11:00〜19:00 |
| 休み | 無休 |
| 料金 | 無し |
| URL | https://www.sony.jp/camera/imaging-gallery/detail/260904/ |
