ラグジュアリーブランドがもの作りで
新型コロナウイルスを続々支援

17 April 2020

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ラグジュアリーブランドがもの作りで新型コロナウイルスを続々支援

2020年初頭中国から発生し、今や地球を席巻する新型コロナウイルス(COVID-19)。感染を忌避するため、他者との接触を減らす目的から各国で外出が禁止されている状況がいまだ続いていて、多くの読者が日々自宅にこもり生活していることだろう。各国政府や自治体、大企業がさまざまな支援・施策を日々打ち出しているが、そんな中、欧米を代表するラグジュアリーファッションブランドもそのヘリテージを生かした支援を行っている。

ジョルジオ・アルマーニ © Julian Broad

ジョルジオ・アルマーニ © Julian Broad

ヨーロッパでもっとも感染が拡大し、死者が2万人を超えたイタリア。2月のミラノ・ファッションウィークから流行が見られ、その最終日は異例の中止となった。イタリアファッション界の帝王アルマーニは、無観客で「ジョルジオ アルマーニ」ブランドのランウェイショーを発表するなど迅速に手を打ってきた。3月下旬には、医療従事者の保護のためにイタリアのすべての自社生産工場にて、使い捨ての医療用作業着の製造をスタートしている。

いうまでもなく、感染リスクが高いのは、罹患者と直接接触し、しかも多忙である医療従事者だ。同国のプラダもモントーネ(ペルージャ)にある自社工場で医療用オーバーオール8万枚、マスク11万枚を生産し、4月6日までに医療従事者に配布しきった。

ベビー ディオールのアトリエでマスクをボランティアで生産するスタッフたち © Dior

ベビー ディオールのアトリエでマスクをボランティアで生産するスタッフたち © Dior

イタリア同様、多くのラグジュアリーブランドが集まるフランスは、4月14日現在で死者15,000人超。外出禁止を5月11日まで延長した。ラグジュアリーコングロマリットのLVMHは除菌用アルコールジェルをフランス国内の香水・化粧品ブランド(クリスチャン・ディオール、ゲラン、ジバンシイ)のすべての生産施設を活用して量産し、仏保健当局に配布している。

同グループのディオールでは、子供服「ベビー ディオール」のアトリエにて物流、食品業界に従事者に向けて、有志の従業員がマスクを手縫い生産。

ルイ・ヴィトンによる医療用ガウン

ルイ・ヴィトンの職人300人が日々マスクを生産 © David Gallard

またルイ・ヴィトンは医療従事者へ向けてマスクとガウン製作を開始した。マスクではマルサ、サンドナなど各地のアトリエを転用し、300人の職人がマスクを製造。ガウンは、パリのポン・ヌフ通りにあるプレタポルテアトリエでボランティアの職人20名が、AP-HP(パリ公立病院連合)公認の生地とパターンを使って、数千枚規模のガウンを製作。日々、AP-HPの6病院に出荷しているという。

同じく仏ラグジュアリーコングロマリットのケリングもさまざまな貢献活動を実施している。グループ全体で300万枚の医療マスクをフランス医療機関に提供。新型コロナウイルス研究支援のためにパスツール研究所に資金援助も実施した。傘下ブランドのバレンシアガとイヴ・サンローランはマスクを製造。グッチも2つのクラウドファウンディングに200万ユーロを寄付したほか、110万枚の医療マスク、55,000着の医療服の寄付を計画している。

同じくフランスを代表するクチュールメゾン、シャネルもアトリエ機能を集結させ対策に乗り出している。フランス国内において、オートクチュールやプレタポルテ、メティエダール・アトリエの縫製職人約150人がマスク、防護服のプロトタイプ製作を実行。既に5万枚以上のマスクを医療機関、消防署、警察署などへ寄付している。また、フランスの従業員約8,500人に3月16日から8週間の雇用と給与を保障することを約束しているのは心強いだろう。

ものを作ることが生業のラグジュアリー企業たち。職人の手、生産機能を生かしたパンデミックへの対策は素晴らしいことだ。社会に還元するCSRもラグジュアリーの価値のひとつ。彼らの服や装飾品を纏うとき、このパンデミック支援を思い出すことがあるかもしれない。アルマーニ氏は、ファッションジャーナル米WWDのインタビューに答えて、アフターコロナ後のスローなラグジュアリーファッションを予見している。彼の発言からはそれこそがラグジュアリーの本質ではないだろうかと考えさせられる。まだまだ収束の兆しが見えない新型コロナウイルスだが、家ごもりのいまこそアートや音楽といった文化に触れながら、ファッションを享受できるようになる夜明けを待ちたい。